第十四話 -カラオケボックス殺人事件-
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。流石はロックメンバーというのか、ライブ後だというのにガンガン曲を入れていたので俺も曲調が激しいものをチョイスした。
「すげえじゃねえか!音圧もプロに負けないくらいあったぞ!」
「確かに!ねえ、軽音部にでも入ってるの?」
「…ッフ。確かにそうだ、どっかのヘタなバンドよりよっぽどましだぜ……」
「「「!?」」」
俺が歌い終わった後、口々に褒めてくれたメンバーを見て木村さんはそういった。だいぶ酒が入ってるな。んー?でも今の声……
「ちょっと、達也のみすぎよ!このあとトーク番組の収録があるって……」
「うっせえ!ドブス!!引っ込んでろ!!!」
酒量を嗜めようとしたマネージャに対して暴言を吐きながらさらに酒を飲む木村さん。…ドブスって。なんでそんな寂しそうに?
「ちょっと、龍斗?ウチに似てるって言ってたマネージャーさんがドブスっていわれてんやけど?」
「そう、そうなんなんだけど様子がおかしい」
「様子て。そら人を罵倒しとるんやからおかしいのは当たり前やろ?」
流石に目が余る言葉を聞いて俺に止めてもらうことを期待したんであろう紅葉の言葉を遮り俺は彼の様子を探った。この感じは……寂寥感?
その後も、彼はメンバーに対して高圧・嫌がらせのような対応を行った。何も言わない俺に対して何か考えがあることを察したのか紅葉はもう何も言わず俺に任せるようだった。……ん?新ちゃんも目に余ったのか彼に近づいて?ああ、気づいたのか。彼の哀しげな様子に。…『おお、ボーズどーした?オメーも歌うか?入れ方教えてやっからよ』『う、うん』…メンバーに対しての雰囲気と打って変わってにこやかな口調に新ちゃんも戸惑っているようだ。あー、これは。
「えー、レックスやめちゃうんですか!?」
「ああ、このツアー終わったら俺だけ抜けるんだ。まあ、これで清々するぜ!下手くそなドラムやガキっぽいギター!そしてお高くとまったマネージャーともおさらばってわけよ!!!」
その言葉に息を飲む全員。
―――――――♪
「おっと、オレの曲じゃねえか!誰がリクエストしたんだ?」
「達也、もう時間よ!トークショーに遅れるわ!!」
「うるせー!俺は歌いたい時に歌うんだよ!!」
「しょうがないわね……スタジオに連絡入れてくるわ」
そう言って部屋を出るマネージャーさん。それをうっとうしそうに見ながら木村さんがマイクスタンドに立ち、ジャケットを脱ぎ捨てた!
「行くぜ!!『血まみれの女神』!!」
「へへへ、どうだった?オレの歌?」
「「とってもよかったですーー!!」」
1曲を歌い終わり、木村さんは満足げに席に座った。んん?この匂いは――――!!
「よお、克己!そのおにぎりオレにもくれよ!」
「……」
「へ、サンキューな!」
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