暁 〜小説投稿サイト〜
儚き想い、されど永遠の想い
311部分:第二十三話 告白その十二
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二十三話 告白その十二

 あらためてだ。こうも言ったのだった。
「しかし」
「しかし?」
「この病のことは何時までも隠せるものでしょうか」
「隠せないというのですか」
「そういうものではないでしょうか」
 こう言ったのである。
「どうしても」
「どうしてもですね」
「はい、隠せるものではないのでしょうか」
 また言う真理だった。
「最近考えているのですが」
「そうですね。病はゆっくりでも」
「進行していきますね」
「いきます」
 このことはだ。どうしてもだった。
 例えゆっくりであっても労咳という病は進行していくのだ。そうした病なのだ。
 それでだ。彼は言ったのだった。
「では、ですね」
「前にもお話したと思いますが」
「病のことを」
「公にしましょうか」
「勇気は」
 そのだ。告白する為のそれはだというのだ。
「それは」
「あります」
 毅然としてだ。真理も答えた。
 顔もそうなっていた。そしてその顔でだった。
 答えてだ。そのうえでの言葉だった。
「私のこのお腹の中の子供のことも」
「含めてですか」
「それで」
 言えるというのだった。公に。
 そこまで聞いてだった。義正もだった。
 意を決した顔になってだ。そしてだった。
 確かな顔でだ。言ったのだった。
「私も。一緒に」
「その時もですか」
「当然です」
 義正のその言葉には迷いがなかった。そうしてだ。
 その迷いのない顔でだ。彼は答えた。
「夫婦ですから」
「だからですね」
「はい。ですから」
「絆があるからこそ」
 それでなのだった。彼もだった。
 そうしてだった。真理もその言葉を聞いてだ。 
 自然とだ。温かい笑顔になってだった。義正に言ったのだった。
「有り難うございます」
「御礼はいいです」
「そうですか」
「当然のことですから」
 義正のこの考えは変わっていなかった。全く。
「ですから」
「はい、それでは」
「二人で」 
 言葉を交えさせてだった。
「そうしましょう」
「子供を産み育て」
「病のことを告白しましょう」
 こう話したのだった。そしてだった。
 今の話を終えてだ。義正は。
 何か肩の荷が下りた顔になりだ。それでだった。
 真理にだ。今度はこう言ったのだった。
「ではです」
「それでは?」
「お茶を飲みますか」
 静かな微笑みを彼女に向けての言葉だった。
「落ち着いて」
「お茶をですか」
「抹茶を」
 今言うのはその茶だった。
「それを飲みますか」
「日本のお茶をですか」
「栄養学的にはです」
 真理を安心させる為にもだ。抹茶についてここから話したのだった。栄養学も明治からだ。日本に定着してきた学問であった。
「抹茶は
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ