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名探偵と料理人
第十話 -龍斗の悩み-
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「さっき俺がしていたのは「暗技」の「蘇生包丁」の応用だよ」
「あ、暗技?蘇生包丁?」
「俺が持ってる技術の一つでね。あまり表に出したくないんだ」

「暗技・蘇生包丁」とはトリコの世界で習得した技術の一つだ。これを使えばどんな食材も最高の味を出すことができる。が、そもそも習得できる人間がこの世界にいるとは思えないし必要な包丁はこの世界では作れない。俺が今日使った包丁は俺がトリコ世界で愛用していたもので俺の「裏のチャンネル」に保管していたものだからできただけであって、父さんからもらった包丁じゃ再現できなかった。そのことをぼかして説明した。

「それに、それを使わなくても美味しい料理を作る腕に自信はあるからね。今日は歓迎の意味で使ったんだよ」
「そやったんやね。そんな不思議な技術があるんやねぇ。でも美味しかったよ龍斗クン!」
「ええ。本当に美味しかったです龍斗様」

二人は笑顔でそういってくれた。うん、やっぱりこの笑顔が見れるのは料理人冥利に尽きるね。

歓迎の夕食が終わった後、片づけをして後は寝るだけという時間になり俺と紅葉は俺の部屋で雑談に興じることになった。

「ほんに、龍斗クンのお料理は絶品ですなあ。ウチも今まで有名どころの方々のを頂いてきましたけど今日のは龍斗クンのお父様をも超えていましたえ」
「父さんの料理たべたことあるんだね」
「ええ、行った先のパーティで。龍斗クンがつくる物とはまた別の美味しさがあって。龍斗クンのパーティ料理と互角なんやないかと思ってたんやけど」
「俺と父さんはよく似てるからね。人を笑顔にするために料理を作ることを信条にしている。だけどね、父さんが一番おいしい料理を出すのは俺と母さんに作った時なんだよ。手を抜いているつもりはなくてもどうしてもそうなってしまう。だからあー……まあ。うん。美味しかったんだったらよかったよ」
「龍斗クン?誤魔化さないで言葉にしないと分かりやしまへんよ?言ってください……?」

俺が言葉を濁したのにその先を察していたのか、いたずらっ子のような表情をしながら追及していた。うぐ。

「だ、から。俺も今日は家族に向けて作るくらいに気合入れて作ったよってことだよ!」
「……ありがとう、龍斗クン♪とっても嬉しいわ」
「まったく。まあ、明日からは「買った時の」食材の味を生かして作るから今日ほどの物じゃないけど。毎日誰かに作れるっていいね」
「龍斗クンはホントに根っからの料理人なんやねえ」
「まあね。そうだ。紅葉ともっと仲良くなったら、俺の秘密の部屋に連れてってあげるよ」
「秘密の部屋?それにも、もっとなかよくって……」

ナニを勘違いしたのか、紅葉は俺達が座っているソファから見える俺の畳んでいる布団をちらちら見て顔を赤らめてた。

「い、いや。そっちじゃ
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