青年期〜原作開始(〜20巻)
第九話 -ファンタジスタの花、紅葉来訪-
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っきから、沢村って子の事ばっかり。もしかして新一、その子のことが好きなんじゃない?」
「あ、?バーロ――!?」
何とも信じられない言葉が蘭ちゃんから出て新ちゃんはボールをけり損ねた。そのボールは蘭ちゃんに向かっていき
「ふっ!!」
蘭ちゃんの上段蹴りで見事に新ちゃんの手の中へとおさまった。あーあーあー、スカートであんな蹴りして。そんなことしたら。
「しろ……」
「ん!!」
あわててスカートを抑える蘭ちゃん。まあ真正面にいた新ちゃんに見られるわな。んで次は、
「あ、やべ」
「こらー、新一!!!!」
追いかけっこが始まるわけだ。ま、いつもの光景だし平和でいいねえ。
秋も深まったある日、俺は雑誌で気になる記事を見つけた。
『中学三年生の大岡紅葉さん、特別枠で出場した高校生皐月杯でチャンピオンに!』おー。
「なになに〜『並み居る高校生を退け、優勝を勝ち取った美少女クイーン!』だって。龍斗君もこんなの読むんだね。女の子に興味ないって思ってた。てかこの子大岡家のご令嬢じゃない」
「どーいう意味かな?園子ちゃん。あと、流石に知ってたか」
「まあね、何度かパーティで見たことあるし」
後ろから俺が読んでた雑誌を盗み見て、そんな言葉をくれた園子ちゃんに引きつりながら聞いてみた。
「だって、上から下までいろんな人に告白されてんのになしの礫だし。何度私に相談が来たことか。それにファンレターなんて世界から来てるんでしょ?」
「いや、別に女の子に興味ないわけじゃないって。ただ、この子とちょっとね」
「龍斗、この子と知り合いなのか?」
「そうなの?龍斗君」
いつの間にやら三人に囲まれて聞かれたので京都であった顛末を話した。
「……ったく、新一君も気障なセリフを吐くけど龍斗君も素直に褒めるよね小さい時から。綺麗だ可愛いだ、いい子だなんだって」
「そだね。しかも本音で言ってるし」
「気障ってのには引っかかるが、龍斗の事に関してはオレも同意見だ。俺達幼馴染みは言われ慣れてるがあったばかりの子にそんなこといってたらオメーいつか刺されんぞ」
なんと!幼馴染にはからい評価だな。まあ確かに普通の子供はそんなストレートに褒めたりしないか。
「まあそんなわけで、この子とは縁があってね」
「なるほどなー。しかしオメーはどーなんだよ?」
「俺?」
「その子との約束だよ約束!どう思ってんだよ」
「んー。そーだなあ、初めて…まあその一回だけなんだけど。あった時は対戦のこともあってずっと見てたわけだ」
「ああ、聞いてみると改めてオメーが馬鹿げた身体能力を持ってるって思ったぜ」
「うっせ……それでひたむきにやっている表情を見ていいな、とは思ったよ。負けそうになっても芯の強いあのまなざしは
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