第七話 -世界大会、他色々-
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なっていた。その中でかちゃかちゃと作業音が響く。
そこに誰ともなく目を向けると信じられない光景が広がっていた。あの、たった一人で参加していた少年だ。確かに一人だった、はずだ。だが会場にいた全員が目にしたのは数十人に分身した彼の姿だった。おそらくは非常高速で動き回っているためにそう見えるだけなのだろう。だがその信じられない姿を見て、そして着実に出来上がっていくスイーツを見て全員がこう思った。
―とんでもないことが起きる―
「おめでとうございます!緋勇君!!お母さんの最年少記録を抜いての優勝。感想はどうですか?」
俺は今、各国のメディアに囲まれていた。完全に切れて自重を捨てた俺は現在戻っている力を全開放して、前世で培った技術も惜しみなく使い大会を勝ち進み優勝した。ただ、
「緋勇君は、100人のスイーツを作るのに分身していたようですが忍者なんですか?!」
そう、本気で動きすぎて一般人には分身に見えたらしく。三回勝ち上がったあたりから「ジャパニーズニンジャ!!」と言われてしまった。海外であんな動きすればそういわれても仕方ないか。
「それにしても、すべての試合で相手の票を一桁に抑えるなど圧倒的でしたね!」
これもまた、自重を捨てた結果だ。流石にあのグルメ時代を生きた俺の料理人としての技術と経験を惜しみなく使ったのだから。まあやりすぎた感は否めないが。
勿論八百長だ、なんだという輩がいた。俺の得意技は「平凡なものを技術で至高の味にする」ことだ。だから一見普通に見えるスイーツなのにこんな大差がつくのはおかしいと。対戦相手は皆、言葉にする/しないの違いはあれど、不満はあったようだ。なので余分に作っておいた同じお菓子を相手側全員に食べてもらった。それ以降は、何も言わなかった。その一桁の票もよく聞いてみると、意地でも俺に入れたくない人が入れていたようだし。
決勝の相手だけは俺から言うまでもなく食べさせてくれと言ってきて、純粋にほめてくれた。その人は夏美さん(あの女性だ)の上司の人で、夏美さんも俺が参加者であることを黙っていたことにちょっと怒っていたが笑顔で祝福してくれた。
『しかし、いくらなんでもあの票はおかしくありませんかねえ』
んあ?なんか失礼なことを言われたぞ。一応、お祝いの雰囲気の会見だったから英語で投げかけられたその言葉は不思議とよく通った。
『すべての試合で、相手が一桁?君は「あの」緋勇夫婦のお子さんなんだって?』
『……あなたは?』
『おっと、失礼。私はエド・マッケイというしがない記者ですよ』
『ほう、エド・マッケイさん。確かスポーツ専門の記者の方では?拠点は確かアメリカの』
『おや、私の事をご存じで。いえいえ、実はヨーロッパで特ダネの記事をつい先日上げたばかりでね。何か
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