第七話 -世界大会、他色々-
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か。あれじゃないか、音楽の授業で披露した新ちゃんの歌。ひどい音痴なのを知られて音楽の先生だから目を付けられたんでしょ」
「たく、勘弁してくれよなー。いいじゃねーか別に音痴なのくらい」
「楽器は上手なのにね。バイオリンを趣味で弾ける中一なんてそうそういないよ?ま、頑張りたまえ。俺にはいい先生だよ気さくだし」
「ちぇー。はいはい分かりました。オレを犠牲にして龍斗君は楽にしてってくださいー」
そんなくだらない話をしていると昼休みが終わり授業の時間になった。
それからまたしばらく時が経ち、七月になった。学校に行き、勉強し、バカ話をし、部活に精を出す。そんな日常に一つ変化があった。
「今日も作りに来たんですね、麻美先輩。もう毎日、三か月。先輩も頑固ですね」
「あら、こんにちは緋勇君。だって悔しいじゃない。絶対美味しいと言わせるって決めたんですもの」
「新ちゃん、そういう取り繕わない性格は絶対災難の元だよ……」
「あら、取り繕わないってことはホントに彼の口に合ってないってことよね」
「あ、はははは……」
そう、料理部の活動場所である家庭科室に元テニス部所属、帝丹中学生徒会長である内田麻美先輩がレモンパイを作りに出入りするようになったのだ……誰かさんのせいで。
事の始まりは五月の半ば過ぎ、新ちゃんが異例のスピードで一年生レギュラーを獲得してからそこまで時間は経っていないころだ。彼女がレモンパイの差し入れをサッカー部に持って行ったらしく、それを食べた新ちゃんが「不味い」と評価したらしいのだ。それにプライドを刺激されたのか毎日作って持っていくようになったのだ。そして学校で作る場所と言えばこの家庭科室しかなく。部活動でここにいた俺ともそれなりに仲良くなったというわけだ。初めて来たときに部長から俺にアドバイスを聞いたらどうかと言われていたが、自分で美味しいの言葉を言わせてやる!とのことで口出しは無用とのことだった。
そんなこんなで夏休みを挟んで計三か月。俺が新ちゃんの幼馴染であることをどこかで聞いたのか。どんな味の嗜好をしているのかなどを聞かれたりしたので話しているうちに仲良くなり内田先輩から麻美先輩呼びになったりある程度仲良くなった。
「それじゃあ、今日も作るかな。龍斗君は今日はどうするの?」
「今日は新しいレシピでも考えようかと」
「あら、じゃあ私は邪魔しないように端っこ方を借りるわね」
そう言って、麻美先輩は端っこの方に行きレモンパイを作り始めた。いや別に邪魔にはならないんだが。しかしほんとによく続くなあ。夏休みには、二年連続全国制覇を期待されていたテニス部をやめてサッカー部のマネージャーになるくらいだもんな……なんてね、流石にそのころから話す内容が新ちゃんの子供の頃の話だったり趣味だったりに変わって、今のレモン
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