第六話 -小学校卒業までの色々-
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いくあの子を見ながら、あそこまで素人と連呼しなくてもいいのにと思いながら準決勝が始まるのを待った。
「くっそう!負けた!!今度こそ龍斗に勝てると思ったのにいぃぃい!」
「しかも今までで一番早く出てきたやん!今でも信じられへん。平次めっちゃ強いのに!!」
「だから早かったというか、勝てたというか」
「どういうこっちゃ?」
「実はね……」
そう言って、俺は種明かしをした。休み休みに何首かは覚えているが場に出るのはランダムな50首。自前の知識じゃどうしようもないなら知識を持っている人から借りればいいじゃない?の精神で戦略を組んだ。まず、場に自分が覚えた札があるかを確認する。そして対戦が始まったら全力で相手の姿勢、目線、腕の筋肉の動きに注意を払う。読まれるものが知っているものならそのまま取り、知らないものなら観察していた結果相手が取りたいものを先取りする。だから、カルタをやっている人とやると早かったんだよ。すっごく目が疲れるけどね。
その説明をすると二人ともぽかんとした様子だった。
「た、龍斗?それ本気で言ってるん?」
「本気も何も、そうやって勝ち上がってきたんだけど?」
「あ、ありえへん」
「ほんまにどうなっとんねん、あいつの身体能力は」「一緒に遊んでていっつもすごいなあおもうとったけど」「もう、人間の範疇超えとるで」……
何やら二人でぼそぼそ話しているみたいだけど気にせず俺は決勝までまったりしていた。
「決勝の相手はあなたのほうですか」
「うん、よろしくね」
「いいえ。短い付き合いになりますよ」
決勝戦が始まった。こっちをなめきっている様子なのにカルタが始まった瞬間真剣な顔になった。
へえ、カルタ経験者であれだけ自信持ってたってだけあって今までの人と比べ物にならないな。でもごめんな、俺も勝ちに行かせてもらうよ!
「○○カルタ大会、優勝緋勇龍斗君!おめでとう!!」
決勝戦は平ちゃんと同じか次位に早く終わった。カルタに一番素直な子で、とてもカルタの事が好きだっていうことがわかる一戦だった。まあ俺があの子の事をずっと見てたから分かったことだけど。
「おめっとさん!龍斗!!くやしいがやっぱすごいのうお前は!」
「おめでとう!龍斗君!!」
「ありがとう、二人とも」
二人からの祝福の声をもらった。二人は自分が勝ったように嬉しそうにしていた。あの子は……ああ、
「ごめん、平ちゃん和葉ちゃん。先に行ってて待っててくれる?」
「んん?おお、よくわからんけどええで。いくで、和葉」
「え?なに?ちょっとまってよ、平次ぃ〜……じゃあ、龍斗君また後でな」
さてと、隅っこで泣いてるあの子を慰めに行きますかね……どうすっかね。
「もう、泣くなよ。可愛い顔が台無しだぞ?」
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