幼少期〜少年期
第四話 -工藤新一少年の冒険-
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斗君がマジックを見せてくれたのでお礼に『おいり』を贈った……ら、「うめえうめえ!」と止まらない様子だったので「お母さんの分が無くなったらお母さん怒るよ?」と言うと、ぴたりと手が止まった……どこの家庭も母は強しなんだなあ。
GWが明け、久しぶりの登校となった。朝学校に向かうために家を出ると新ちゃんが待っていた。
置いてきぼりを食らって以来久々に会った。
「おはよう、宝探しに俺を置いて行った新ちゃん?」
「うっ。悪かったって。でもまたお前が俺達のために無茶するんじゃないかって思ってよ」
「……なんてね。冗談だよ。別に怒ってないし。多分だけど今回は俺が一緒に行かなくてよかったと思うしな。それより宝は見つかった?」
「ああ、すっげえきれいな夕陽だったぜ!」
「夕陽?」
「ああ、あの暗号はな……」
暗号は、優作さんが優作さんの友人に頼んで新ちゃんを家から出すために一芝居打って渡したものだという推理を披露してもらった。この事実に気付くのはまさか二度目の小学生をするときになるとは夢にも思わないだろうなあ。
「なるほどねえ。あ、そういえばちょっと遅くなっちゃったけど誕生日おめでとう。学校終わったら俺が作ったケーキ持っていくね……あ」
「マジか!くう、今から放課後が楽しみだぜ!!ってどうした?」
「いつもと同じ癖で蘭ちゃんとこに来ちゃった」
「ん?ああ、いいじゃねえか。蘭と一緒に行っても」
「お?おお?新ちゃんどーしたのかなー?蘭って呼んでるぞーー?」
「う、うっせーな。いいじゃねえか別に!ってか、蘭に余計なこと吹き込んだの龍斗だろ!?」
「余計なことって何のことかなー?」
「蘭の両親が名前で呼び合ってるから名前で呼ぶのはガキじゃないってやつだよ」
「ああ、あれね」
「あれってあのふたりはふ、ふ、ふうh……」
「おはよー!!新一、龍斗君!!」
顔を真っ赤にして何かを言おうとした新ちゃんのセリフを遮るように蘭ちゃんが来た……ふっふっふ。やっぱり新ちゃんは気付いたか。夫婦で名前を呼び合うのは自然なことだって。これはちょっとした俺の悪戯だよ。
「あれー、新一顔赤いよ?」
「バーロー、なんでもねーよ!ほ、ほら学校に遅れちまうぞ!!」
「あ、待ってよー」
顔を赤くした新ちゃんが走って学校に向かい、それを追いかける蘭ちゃん。よかったね、蘭ちゃん。
「蘭ちゃん、蘭ちゃん!今度は図書室の天井から変な棒が生えてきたって!なんか先生たちが頑張って抜こうとしてるんだけど天井裏が丁度コンクリートで全然抜けないんだって!」
……あ、忘れてた。
結局、あのナイフは天井から抜けずに放置されることとなった。
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