霊感体質の若者を襲う恐怖
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く、小・中校と常に学年で
一番だったが、高校一年の終わる頃から、複数の女性と付き合い、学業をほったらかしにして、女
性に対する腕を上げたのだが、それに反比例して成績は急降下した。勉学に励んでいれば、東大に
楽に入れたのに……。高校一年までは、担任の先生も太鼓判を押していたが。
まあ、過去を幾ら振り返っても、もうその時に戻れないから、くよくよしないで、前を向き物事
の明るい面を見るように心掛けている。
俺は、上杉 鷹山(うえすぎ ようざん) を尊敬している。彼は、江戸時代中期の大名、出羽国
米沢藩の第九代藩主で、米沢藩再生のきっかけを作った名君だ。
彼の名言、『為せば成る、為 さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり』を、俺のモッ
トーにしている。こう言うと、如何にも聖人君子のようだが、人は、自分に欠けているモノを求め
生きるんだ、と俺は思う。だから、俺は、決して聖人君子ではない、だだ、そのような人物を人
生の目標にしているのは、紛れもない真実だ。
まだまだ、生意気な小僧だが……。
英書講読が終わり、二時限目の「東洋史」の授業を受ける事にし、メッチャでかい教室の一番
後ろの席に座った。一般教養科目だから点呼もなく、教授が黄土色に日焼けするほど何年も使って
いるノートを、棒読みするのを聴いているだけの退屈極まる講義だ。
だから、睡眠不足を補おうとこの教室に来た。寝る気満々だった。
ところが、教授が入って来る前に、俺を身つけた山口 佳代≪やまぐち かよ≫が、横の席
に移動してきた。俺と話が合うからだろう。いや、それ以上の感情を俺に抱いている。俺に会う
と、何かと理由をつけて長い時間話そうとしたり、学外の洒落た喫茶店に誘ったりし、如何にも、
恋人同士であるかのような振る舞いをしたがるからだ。
彼女は、大きな黒い瞳が印象的で、背中まで伸ばした黒髪を先だけ軽くウエーブをかけている。
どちらかと言えば、美人の部類に入るだろう。
だだ、大きな欠点があるが、本人は、長所だと思っているから極めて厄介だ。
それは、メチャクチャおしゃべり好きな事だ。多くの情報を人に与えているから、自分では、
とても素晴らしい能力に恵まれている、と勘違いしている世界の住人だ。
彼女には、守護霊が見えるらしい。俺の右後方には、江戸時代に活躍した庄屋のオヤジがいる
らしい。
ただ、懇意にならなければ、その人の守護霊を見るのは不可能らしい。
更に、自分の守護霊は分からないと言って、彼女はいつも嘆いていた。
そんな山口が、嬉しそうな顔をして俺に話しかけて来た。いつものように、霊に関する話だろう
と思った。やはりそうだった。
二人とも、幸運な事か、残念な事か、絶えず霊が見える訳ではない。
もしも、大勢いる霊
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