提督のバレンタインデーお菓子教室
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がしっとりして更に美味い。
ホワイトボードに書き出した作り方を確認しつつ、和気藹々と調理を進めていく艦娘達。俺はその間を歩きつつ、解らない所を聞かれたら答えていく。さながら調理実習だな、コリャ。ってことは俺が家庭科の先生か?……いや、こんな厳つい見た目の家庭科の先生はいねぇな。自分で考えておいてちょっと切なくなりながら、艦娘達の周りを周回していく。
「提督?ちょっと窺いたいのですけれど」
「どうした夕雲?って、料理上手なお前がこんな所に珍しいな」
「うふふ、妹達の付き添いですから。それに……」
夕雲がチョコクリームを混ぜながらしなだれかかってきた。
「提督とスキンシップが図れる数少ないチャンスですから♪」
「そうかい。んで、何が聞きたいんだ?」
「ブラウニーの香り付けのお酒、多めの方がお好みかしら?」
「入り過ぎると食べ難かったりするぞ?」
ありきたりな答えでそう答えると、夕雲はムッとした表情になる。
「私は提督の好みが聞きたかったのに……イケズですね」
「おいおい、俺のレンジで作ったチョコを俺に渡す気か!?」
「あら、いけません?変な物を混入されるよりは安全じゃないかしら」
思わず言葉に詰まってしまう。過去に如何わしい薬やら血が混入したチョコを渡された事もあっただけに、夕雲の言うことは尤もだった。
「……俺個人としては、多めの方が好きだな」
「は〜い、多めにしておきますね♪」
やれやれ、上手を取られると弱いね全く。その後も何度か俺の個人的な好みを聞かれたりしたが、大きな問題もなく料理教室は終わった。
〜数時間後〜
「やれやれ……書類仕事はこれで終了、と」
時刻は午前1時。気付けば2月14日になっていた。料理教室の為に仕事を詰めてはいたが、今日中に決済しないといけない書類はどうしても発生する。料理教室の後の片付けをしつつ、書類をやっつけていたらこんな時間になっちまった。
「一息入れるか」
誰に言うでもなくそう呟いて、コーヒーを淹れようと立ち上がったその時、執務室をノックする音が。
「開いてるぞ〜」
「失礼します。遅くまでお疲れ様です、ア・ナ・タ……ふふっ♪」
「なんだ、間宮に伊良湖か」
「何だとはご挨拶ですね。折角差し入れを持ってきたのに」
入ってきたのは間宮と伊良湖だった。最近ケッコンした間宮と伊良湖だったが、前よりも積極的にアピールしてくるようになった。特に間宮は2人きり(伊良湖を除く)の時には俺の事を『アナタ』と呼ぶようになっていた。何となく新婚ぽくて照れ臭い。
「お、バレンタインデーに合わせてチョコか」
「はい♪間宮と伊良湖特製のザッハトルテですよ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ