憤怒のソリダス
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!!」
互いの怒りと共に幾重も重なる剣戟。雨の中、鈍い金属音が響き渡り、その度に武器から火花が飛び散る。だが元々戦いに向けている技量も熱量も互いに異なる以上、それは永遠に続くものではない。
一瞬気迫を出したレジアスによって鍔迫り合いに持ち込まれたが、私の力ではパワードスーツの強化外骨格に力負けしているため、じりじりと刃が迫ってきていた。その刃が私の右肩に触れようかという時、私の目があるものを捉えた。
「あ……あ……!」
「フー……ちゃん……!」
こんなに怯えて……! もしこのまま私の右肩を切り裂かれたら、その後ろにいるフーちゃんも巻き添えになってしまう。赤子の傷は免疫などを考えると小さいものでもマズいのに、ましてや欠損レベルの大ケガを負ってしまったら……!
「ダメだ……この子だけは……傷つけさせない!」
「む!? き、貴様……!」
ここで負けたら自由の他に何を失うのか気付いた私は、エナジーを流動させて背中だけでなく両腕からも炎をブーストさせ、全力でレジアスの剣を押し返していく。
「アァァァァ!! 爆ぜろォォォ!!」
私のエナジーによる爆発で吹き飛ばされたレジアスは、咄嗟に近くのクレーンの土台に剣を突き立てて落下を阻止した。一方で私はこの隙に“管理局地上本部”の看板の所まで駆けていき、“局”と書かれた文字の上半分を切り落とす。これから行うことに必要なサイズは、これで十分だったからだ。
「待て……! ここから逃げた所で、貴様は我々管理世界の全てから追われることになる。ただミッドに留まって、ファーヴニルの封印を維持する月詠幻歌さえ歌ってくれれば全てが丸く収まるのに、なぜ聞き入れてくれない!?」
「そっちの都合を一方的に押し付けてくる……この世界が嫌いだからだ。あなた達に聞こえる場所では歌う気すら無くなるほどにね!」
「ミッドが嫌いだと言うのならば、その赤子はどうなのだ? 儂らと同じミッドの人間なのに、なぜその赤子にだけ情を向けている? 特別扱いは不公平だと思わないのか……!」
「不公平? あのね、世の中一度でも全てが平等になったことがあるの? そんなことはあり得ない、ヒトは必ず誰かを、何かを特別扱いする。家族を殺された時と、全く知らない赤の他人が殺された時、ヒトは同じ哀しみを抱かない。テレビの中で行われる遠い地域の戦争をどうでもいいと思ってるヒトでも、家族を殺された時は強く、激しく、辛い感情が爆発する。私は特別に思ったヒトしか守ろうとはしない。それは普通のヒトならば当然のことであり、その性質は今も昔も変わってない!」
「昔もだと? 4年前のファーヴニル事変で月詠幻歌を歌ったのは、この世界を救うためではなかったのか!?」
「あの時はサバタさんやマキナが生きていた、心から大切に
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