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儚き想い、されど永遠の想い
303部分:第二十三話 告白その四

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第二十三話 告白その四

「そしてその心臓をです」
「大阪にしたい」
「そう言うのか」
「はい」
 二人にだ。彼ははっきりと頷いて答えてみせた。
「そう考えています」
「では聞きたいのだが」
 二人のうちの一人がその答えに尋ね返してきた。
「その理由は何かね」
「心臓を大阪に置く理由ですか」
「君達八条財閥の本拠地は神戸にある」
 ここからだ。その老人は尋ねたのだ。
「本来なら鉄道の中心は大阪ではなく神戸に置くものではないかね」
「確かにそうですな」
 もう一人の老人もその老人の言葉に応えて頷く。
「八条財閥の心臓はそこにあるのですから」
「しかしその神戸ではなく大阪に置くという」
 老人は再び義正に尋ねる。
「それは何故なのだろうか」
「そのことですね」
「そのことを聞きたい」
「そしておそらくだ」
 もう一人の老人もだ。彼に尋ねてきた。
「そのことがこの会合を設けた理由なのだろう」
「その通りです」
 その老人の問いにだ。義正はその通りだと答えた。
「それが為にです。御二人には今日ここに来て頂きました」
「成程。やはりな」
「それでか」
「そうです。それで鉄道の中心を大阪に置きたい理由ですね」
 今度は自分からだ。言ってきたのだった。
「そのことですね」
「答えてもらえるだろうか」
 その老人はがんもどきを食べながら問うた。
「君の、八条財閥の答えを」
「大阪が最もよいからです」
 まずはだ。こう答えた彼だった。
「だからです」
「大阪が最もいい」
「はい、いいです」
 まさにだ。そうだというのだ。
「だからこそです」
「大阪がいいのか」
「まずは交通の便です」
 鉄道の最大のポイントだ。
「大阪は関西の中心にありそして」
「そしてか」
「そうです。そしてです」
「そしてか」
「さらにあると」
「大阪は栄えています」
 それも理由だというのだ。
「関西で最も」
「そう、大阪は関西第一の街だよ」
「何につけてもね」
 大阪人としてだ。彼等もだ。
 満面に笑みを浮かべてだ。こう言うのだった。
「東京にもやがては」
「追いつき追い越す」
「ここは天下の台所」
「そうなっていくからな」
「はい、ですから」
 だからこそだとだ。義正も笑顔で話す。
「鉄道は大阪に拠点を置きたいのです」
「だからこそ君達の拠点である神戸ではなく」
「あえて大阪をと」
「そうです。大阪です」
 また答える彼だった。
「そうしたいのです」
「交通の要衝で人も多い」
「産業も栄えている」
「その大阪を選んだ」
「理由は全てわかった」
 彼等もだ。義正の話にだ。

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