19 胃袋を掴んだもん勝ち。
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万斉とのおしゃべりが楽しすぎて、操縦士の隊士から到着を伝えるまで、時間がすぎたことに気がつかなかった。
_「万斉様、アンナ様、只今春雨に到着致しました。
いかがなされます?」
_「どうします?万斉殿。
もう向かいますか?」
_「そうだな、参り申そう。」
_「そうですね、では案内をお願いしても宜しいですか?」
_「もちろんでございます。
さ、こちらへ。」
と言って、なんだかんだ複雑な道を行くと、春雨に入るゲートの前まで来た。
_「ゲートオープン」
と言って、開かれた先には、春雨のものたちが、私たちを出迎えてくれていたようだ。
菓子折りを持って、万斉の後ろをつけ、
通っていくルートを記憶する。
ここでもまた、複雑な道を通って、
大広間のような場所に着いた。
_「到着でございます。」
と、恭しく案内された先には、中華風の服を身にまとった50代くらいと、10代後半くらいの男性を先頭に、同じような格好をしたものたちが、列をなして座っていた。
お互いに、自己紹介をすませ、ほぼ同時に席につく。
ささやかですがこれをどうぞ、と言って、
私が菓子折りを差し出す。
_「これは何なに?」
と、神威が私に尋ねる。
_「これは、我々の国に昔から伝わる、『和菓子』というものです。主に小豆と砂糖で作られているので、とえも甘いですが、とても長持ちしやすいお菓子となっています。」
_「へぇ〜、侍の国にはそんな面白いものがあるんだネ。ボクもぜひ行ってみたいナ。」
_「ぜひ遊びに来られたらいかがでござるか?
晋助も、楽しみに待っているでござるよ。」
_「じゃあ今度、おじゃまさせてもらおうかナ。
ねぇ、阿伏兎。」
ほぅ、なるほど。
もう一人は、「阿伏兎」というらしい。
覚えておこう。
_「それで?一体なんの用事なの?」
と、神威がお菓子を頬張りながら問う。
桃色の髪を、後ろど三つ編みを垂らしていて、
前髪の上の方に飛び出た触角がゆらゆら揺れている。
ゆらゆらが気になって、少し見つめていると、
不意に彼と目があった。
_「早速でござるが、我々鬼兵隊のスポンサーをそなたらにお願いしたい、と考えているでござる。」
_「そうなんだ、」
_「そうなんだ、じゃないよ団長〜。
なんか言ってくれよ、このスットコドッコイ。」
_「分かったよ、阿伏兎。
で?具体的には何をすればいいのかな?」
_「近く、我々鬼兵隊は船を移動しようと考えている。前の船では引き続き、紅桜の製造を行うつもりで
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