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儚き想い、されど永遠の想い
301部分:第二十三話 告白その二
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第二十三話 告白その二

「清河八郎ですね」
「京で活動をする傍らで」
「この神戸にも来てだったらしいね」
「そして同志達と会っていた」
「そう聞いたが」
「はい、あの頃はです」
 その通りだと認めてからだ。八条は彼等に話した。
「我が家も事業をはじめたばかりで」
「初代が幕末に事情をはじめられ」
「料亭を開かれた」
「商売の一つとして」
「そうしたと聞いているけれど」
「そうです。初代は幾つか事業をはじめましたが」
 それだけの資産がだ。最初からありはしたというのだ。八条家は江戸期においてもだ。幾分かそうした資産を持っていたのである。
 それでだ。幕末になり時代が動いた時にだ。事業をはじめたというのだ。
 それを話してだ。彼は言うのだった。
「この店を神戸に開いたのです」
「港のこの町に」
「中々面白い識見だね」
「そう言って頂けますか」
「しかも料理人は京都から呼んで」
「そうして京料理を神戸にもたらした」
「初代は京料理が好きでした」
 京料理は江戸期から評価が高い。その素材を生かした上品な味をだ。
 神戸にもたらした。初代はそうしたというのだ。
「それでなのです」
「京料理ね。実は私達もね」
「時々食べているよ」
 二人もだ。そうしているというのだ。
「京都に行くことも多いからね」
「その時はいつもだよ」
「左様ですか。それではですね」
「うん、この店の味もね」
「聞いてはいるけれど実際にはどうなのか」
「それが楽しみでね」
「ここまで来させてもらったよ」
「ではお楽しみ下さい」
 自信のある笑みでだ。義正も応えた。そうしてだった。
 豆腐や野菜、それに明石から仕入れた魚や鴨を使った懐石料理が出されてきた。そうしたものを箸に取り口の中に入れてだ。
 湯葉を食べてだ。老人の一人が言った。
「ふむ。これは」
「如何でしょうか」
「いいね。まさにだよ」
 どうかというのだ。その湯葉は。
「京都の味だよ。しかもね」
「しかも?」
「神戸の素材だね」
 素材が何処かもだ。老人は食べて見抜いたのだ。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「京料理だけれど神戸の素材は殺していないね」
「左様ですか」
「確かに。これは」
 もう一人の老人も言ってきた。彼はというと。
 鱧の吸い物を飲んでいる。それを飲みながら言うのだ。
「この鱧も見事です」
「明石の鱧です」
「そうだね。京都でも食べられるが」
 京都は昔から魚はそこから手に入れるのだ。
「けれど新鮮で」
「さらにいいですね」
「いいね。柚子も聞いていて」
 それもだ。いいというのだ。
「見事だよ」
「有り難うございます。料理人も喜びます」
「京料理を神戸に持って来ただけではない」

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