暁 〜小説投稿サイト〜
Speed Demon −Speed of madness−
第一章 春愁秋思のプレアデス
第一話 突然の出来事
[1/2]
[1]
次
最後
[2]
次話
――鬱陶しい。
照りつける太陽の光はどんどん強くなっていく。
無駄に自然の多い街。山を迂回しての帰宅。
この山がなくなれば、どれだけ移動が楽になるだろうか。
直線距離を取れば、20分は短縮できるだろうか。
計算しながら、歩く。
「ああ、よく分かんねぇ……」
自宅までまだ遠い。家に帰っても、誰もいない。
10年前、母親と妹が父親に殺された。父親は今も刑務所に服役中だ。
おかげで俺はずっと独りだ。
殺人者の息子な以上、もちろん周りの目も変わる。
それから俺の性格はどんどん歪んでいった。
学校にもほとんど行かなくなった。
今日だってそうだ。出席日数のために学校には行ったが、直ぐに早退した。
「はあ」
街の商店街に差し掛かると一度立ち尽くし、溜め息と同時に空を仰いだあと、
再び歩を進めようとする。
途端、腰の辺りに何かを ―筒状で冷たく、金属のようなものを― 突き付けられるのを感じる。
一体それが何なのか、考える間もなく、口を押さえられ、
俺は不意に両手を挙げた
「
神崎
(
かんざき
)
大翔
(
はると
)
だな?」
その声から、男であることは分かった。
背後にいるせいで顔は見えない。
神崎 大翔、確かに俺の名前だ。間違いない。
「間違いないな?」
もう一度、問う。
「あ、ああ」
「そこ、何止まってんだよ! 退いてくれ!」
人通りの多い商店街のど真ん中に立ち止まっていたので、
苛立ち始めた通行人の一人が、間を強引に通った。
二人共撥ね飛ばされ、尻餅をつく。
一瞬隙ができた。
今しかない。そう思った俺は、全力で走った。
「くそっ! ターゲットの特殊能力者を確保」
銃を持った男が、耳につけたインカムのようなものに手を当て、何者かに報告する。
男の手には拳銃が、確かに握られていた。
商店街を抜けたあと、しばらく逃げ、人通りの少ない住宅地にきたとき、左から黒いバンが走ってきた。
バンは目の前で止まり、武装した人間が複数、サイドドアから降りてきた。
「了解、攻撃する」
インカムのようなものから聞こえてくる声に応答すると、こちらに銃を向けた。
――攻撃。
乾いた音が響くと同時に、右肩に激痛が走る。
「っ!?」
ぐわぐわと視界が揺れる。ごほごほとむせる。
混乱した頭で必死に考える。
なぜ攻撃されたのか。
必死に考えるも、すぐに二発目の銃弾が放たれる。
その瞬間、俺の目が青い光を放ち、周囲が突然スローモーションのようにゆっくり動き出す。
スローモーション――この現象、昔からよく経験したことがある。
とにかく逃げよう。今はその事だけを考え、ひたすら走る。
スローモーションは未だに続き、自分だけが
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ