第8話
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た、と考えた方が普通なんじゃないかしら。』
白夜の話を聞いただけでここまで推測できてしまうレミリアに驚き、圧倒され、思わず生唾を飲み込んでしまう。
つくづく、自分の主には驚かされることが多いと改めて思う。
『でも白夜。貴方ほどの身体能力があれば閉じ込めてきた人間なんて力で潰せたと思うのだけれど…』
そう言われ、白夜は肩をびくりと大きく震わせる。
目を泳がせ、間を置いてから重たい口をゆっくりと開いた。
『そうできる、というのは自分でもわかっていました。
でも…したくなかった。自分が存在するだけで、村に不幸が降り注ぐ。村の人に迷惑しかかけられない。
…だったら、いっそこのままずっと閉じ込められていた方が、迷惑をかけないで済むんじゃないかと思ったんです。…どうせ、閉じ込められていてもいなくても不幸は結局訪れてしまう。
だから、私は殺されそうになっても、逃げなかった。』
『な…』
『そもそも、生かしてもらえるだけで幸せだったんです。生きているだけで人に迷惑をかけるような人が生きていていいはずがない。私が両親の子供じゃなければ、即座に殺されていたと思います。
…だから、そんな長い年月殺されていなかった、と知って今、ちょっとだけ嬉しいんです。』
『……………………』
話があまりにも切なくて、遠くて、かける言葉が見つからなかった。
レミリアは白夜を見つめるのをやめ、ティーカップに目線を注いでいた。
白夜は出された紅茶を飲みきり、少しして席を立った。
『…暗い話をしてしまい、ごめんなさい。
それと…名前をくれて、ありがとうございました。
…ちょっとだけ、気が休まった気がします。
私、帰りますね。咲夜さん、私を拾っていただきありがとうございました。レミリア…さんも。』
『…え?』
白夜が淡々と話している時、異変に気づいたのは咲夜だけじゃなく、レミリアもだった。
『この御恩は、いつか必ずお返しいたします。
それでは……』
『あなた、人間?』
『……え?』
白夜の言葉を遮り、無邪気にそう聞いてきたのは
『あ、けものの耳生えてるー。人間じゃないのかぁ…
それでもいいや!ねぇ、わたしといっしょに遊ばない??』
つい先程まで部屋にいたはずの、フランだった。
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