3部分:前奏曲その三
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御願いします」
「わかりました」
「貴方はどうされますか?」
八条氏はメイドさんにチーズケーキも頼んでから。僕に顔を向けて尋ねてきた。
「お菓子はいりますか?いるとしたら何を」
「そうですね。僕は」
少し考えてからだ。これにした。
「さくらんぼのケーキを」
「それをですか」
「はい、それを御願いします」
僕はそれを頼んだ。そうしてだった。
そのうえでだ。僕達はそれぞれのケーキを食べながらだ。本題に入った。
八条氏はだ。こう僕に言ってきた。
「さて、それではです」
「そのお話ですね」
「大正時代の頃です」
時代はその時だというのだ。
「その頃の日本は」
「大正デモクラシーでしたね」
「第一次世界大戦に勝ち経済も上向いてきていました」
日露戦争と日韓併合による経済的、財政的な危機が何とか収まってだ。そうなってきたのだ。
「そのことは御存知ですね」
「そうした時代のことですね」
「そうです。あれは」
ここから話がはじまった。その恋の話のことが。
前奏曲 完
2011・2・12
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