ペルソナ3
1964話
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るだろう。
バーベキューの話題を初めとして、俺とゆかりはとりとめもない話を続ける。
それこそどこの料理が美味かった、期末テストの点数がどんな風になっているのか楽しみだ、今日海で遊んで楽しかった……といった、本当にどうでもいい内容。
「それにしても、何でタルタロスではあんなにハイレグアーマーが出るのかしら」
「タルタロスの宝箱を設置している奴が、ゆかりにハイレグアーマーを着て欲しいんじゃないか? 美鶴とか山岸辺りにも」
「……どんな変態よ、それ」
「それを俺に言われても、正直困るけどな。別に俺がハイレグアーマーを宝箱に入れてる訳じゃないんだし」
ふと、タルタロスということ一瞬死神の姿を思い出したが、もしかしてあの死神がハイレグアーマーを宝箱に入れたりしてるんじゃないよな?
死神が? あの顔で? いや、顔は仮面っぽいので覆われているから、どういう顔をしてるのかは分からないが。
「ふーん。……タルタロス、か」
不意にゆかりの声音がトーンダウンする。
ハイレグアーマーについて何かを考えていた……という訳ではなく、今日見た映像の事を思い出しているのだろう。
そうして次の瞬間、日付が変わり……世界は影時間へと姿を変える。
電気が消えた影時間の中、やがてゆかりが口を開く。
「……お父さん、頑張ったんだよね?」
「そうだな。俺はお前の父親を直接知ってる訳じゃないから何とも言えないが、お前の父親が破滅……デスだったか? それを作ろうとしていた桐条の爺さんに抵抗していたのは、間違いのない事実だろ。それに、あの映像は手を加えられている。本当の意味で何を言いたかったのかは、分からないしな」
「うん。……許せないよ、お父さんの最期を汚すような真似をした人が」
許せないと言いつつ、ゆかりの言葉は強くない。
憤りや怒りよりも、寧ろ悲しみの方が勝っているような声だ。
ゆかりにとっての父親が、どのような意味を持つのか。
それを知っていれば、今のゆかりの感情を想像するのは難しい話ではないだろう。
母親との間にあった絆は、今のゆかりはもうない。
少なくても、母親はともかく、ゆかり本人は母親を母親だという風に認識しているかどうかは難しいところだろう。
その分、死んでしまった父親に対して強い思いを抱くようになってしまった……というのは、俺が深読みをしすぎだろうか。
「安心しろ、って俺が言うのもどうかと思うけど、武治はあの映像に細工をした人物を必ず捕らえる筈だ。そうなれば、恐らく細工される前の、オリジナルの映像も残っている可能性は高い」
「……うん」
少し、本当に少しだけだが、元気が出たように見える。
実際、武治は誰が映像に手を加えたのかを、徹底的に追求するだろう。
桐条グループ
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