106 褒美(すきやき)
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全ての参加者の演技が終了した。あとは結果発表のみだった。実際のオリンピックとは異なり、各選手の演技終了と同時に点数が発表される訳ではないため、藤木は自分の番が終わってからも心が落ち着かなかった。しばらく結果の集計として、再び休憩に入った。
「やあ、藤木君」
「和島君・・・」
「キミの演技は素晴らしいよ。だけど、ボクを抜けるかはわからないけどね」
「絶対に抜いて見せるさ・・・」
「結果発表です。参加者の皆さん、リンクに集まってください!」
誘導係から呼ばれ、藤木や和島も含む参加者達はリンクに向かった。自信満々の表情の者、緊張を続けている者、失敗を恥じている者、表情は様々だった。
「出場者の皆さん、お疲れ様でした。皆さん、自分の持ち味を十分に見せてくれたと思っています。結果が待ち遠しいでしょう。銅賞、銀賞、金賞の順に発表します。それでは、まずは銅賞から!」
藤木は願った。銅でも銀でも金でも賞が欲しい。しかし、その際、和島より上位の賞を取りたいと。
「銅賞は・・・、エントリーナンバー18番、井原良太君、草薙小学校!」
呼ばれた井原という少年が前に出た。
(こうなったら銀か金だ。ただし、僕が銀だとして和島君が金だったら僕は負けだ!皆に見せる顔もない・・・)
「続いて銀賞行きます!銀賞は・・・」
藤木は唾を飲んだ。
「・・・和島俊君、船越小学校!!」
和島は当然だろというような表情で前に出て、楯を貰った。
(和島君が銀だって!?なら僕は金を取らないとだめだ!!でもその可能性はあまりにも低い・・・。もう諦めた方がいいのかな・・・?)
藤木は窮地に立たされた気分だった。
「さあ、いよいよ、金賞の発表です!金賞は・・・」
藤木は半分諦めていた。みどりと堀は藤木が金賞である事を祈った。
(お願いします!藤木さんでいてください・・・!!)
「・・・藤木茂君、入江小学校!!」
「・・・え?」
藤木は耳を疑った。まさかその低い可能性に当てはまった?しかし、これは夢ではなかった。
「藤木茂君!前にお願いします!」
「あ、はい!」
藤木はスケート協会の会長から楯を貰った。
「ありがとうございます・・・」
(僕が金賞・・・?やった、やったー!!)
藤木は勝ち誇った気分になった。みどりも堀も嬉しくなった。片山はやはりそうだろうと藤木を信じていたような表情になった。
「茂が金賞なのかい!?嘘じゃないよね?あんた?」
藤木の母は一瞬疑った。
「いや、嘘じゃない。茂が金賞を獲ったんだ!!」
藤木の父は確信していた。
「藤木さん、おめでとうございます!!」
みどりは思わず叫んだ。
「藤木君、よかったわね・・・」
堀は小声で呟いた。
『これから閉会式を始めます』
「えー、金、銀、銅に輝いた皆さ
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