月光校庭のエクスカリバー
聖剣計画
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きなかった。それどころか、祐斗と同時期に養成された者たちも全員適応できなかったようだけれど・・・・・・」
そうなのか・・・・・・。
あれほど剣に精通して、魔剣を数多く扱える木場でも聖剣はダメだったのか。
「適応できなかったと知った教会関係者は、祐斗たち被験者を『不良品』と決めつけ、処分に至った」
・・・・・・処分。
何だか嫌な言葉だ。内容も容易に想像がつく。
部長も不快な思いなのか、目を細める。
「祐斗を含む被験者の多くは殺されたそうよ、ただ『政権に対応できなかった』という理由だけで・・・・・・」
「・・・・・・そ、そんな、主に仕える者がそのような事をしていいはずがありません」
アーシアにそってその情報はショックだったようだ。目元を潤ませている。
自分の信じていたものが次々と裏切ってくれれば、泣きたくもなるだろう。
「彼ら教会の者たちは私たち悪魔を邪悪な存在だと言うけれど、人間の悪意こそが、この世界で一番の邪悪だと思うわ」
部長の瞳は憂いを帯びていた。
部長は悪魔だ。だけど、とても優しい。人間界にいるのが長いから、人間のような感情を得てしまったと部長はおっしゃっていたけど、それだけではないと俺は感じる。
部長は生来優しい女性なんだと思う。じゃなければ、部長の優しい笑顔は説明できないさ。悪魔にだって優しい者はいる! 俺の持論だ。
「私が祐斗を悪魔に転生させたとき、あの子は瀕死の中で強烈な復讐を誓っていたわ。生まれた時から聖剣に狂わされた才能だからこそ、悪魔としての生で有意義に使ってもらいたかったのよ。祐斗の持つ剣の才能は、聖剣にこだわるにはもったいないものね」
部長は聖剣によって無残な人生にされてしまった木場を悪魔にすることで少しでも救いたかったのだろう。
聖剣なんかに拘らないで、悪魔として力をふるい生きてくれ・・・・・・と。
でも、木場は。
「あの子は忘れられなかった。聖剣を、聖剣に関わった者たちを、教会の者たちを・・・・・・」
神父を嫌悪していたこと、聖剣の情報に拘ったこと、木場は結局いまだに引きずってるのか。
いや、自分の人生を好き勝手にしておいて殺されたんじゃ、怨恨持ってもおかしくないと思う。俺も堕天使の姉ちゃんに殺されたとき、恨みを感じたもんな。
それが幼少のころからなると、恨みの大きさも相当なものだろう。
部長は大きくため息をつく。
「とにかく、しばらくは見守るわ。今はぶり返した聖剣への思いで頭がいっぱいでしょうから。普段のあの子に戻ってくれるといいのだけれど」
「あ、それの事なんですが、切っ掛けがこの写真っぽいんです」
俺は例の写真を部長へ手渡す。木場がこの写真に写っている剣を『聖剣』と言っていた。何か関係があると思うんだけど・・・・・・。
部長
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