第14話 女の闘い
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夜、衛宮邸の地下を掘って改造した英霊召喚にも使った魔術の鍛錬用の部屋で、今日も百代に魔術回路の運用などを教えている最中だった。
「・・・・・・・・・・・・ふぅ」
「お疲れ、随分と落ち着いて来たな。流石は百代だ」
わずか十日で成果が出るなど、魔術の方面も天才と言えるやも知れぬ。
「褒めても何も出んぞ?」
「純粋な感想だ。まったく、俺にもお前の才能の欠片でもあれば、投影魔術以外もそれなりに熟せたろうに」
「・・・・・・・・・お前にも、誰かの才能を妬む感情なんて有ったんだな」
「・・・それは嫌味か?」
「私の方こそ純粋な感想だ。――――それにしても、修業中に何度も上の空だったが何かあったのか?」
天才と言っても、魔術回路の運用は未だ素人の百代だ。
魔術回路の運用は一歩間違えれば、周囲を巻き込むような死に直結する可能性が極めて高くなる。
それをちゃんと監視するのも、士郎が此処に射る重大な役割である。
それを、どの様な理由であれ、正しく熟さなければ明らかな怠慢である。
「上の空って程は無いだろ。俺の事なんて気にしてないで、ちゃんと集中しなきゃ駄目だろ?基本的には落ち着いてたが、所々危なげなのが数回あったぞ」
「うぐっ!?だ、だが、お前だって絶対考え事してたはずだ!それが気になったんだからしょうがないだろう!」
「むっ」
そこを突かれては言い返せない士郎。考え事をしていたのは事実だからだ。
「・・・・・・百代にも話は行ってると思うが、義経達の誕生日に合わせた歓迎会の事だ」
「それか。確か料理部に料理を任せたと大和から聞いたが、何だ?お前も何か作るのか?」
「メインのでかいケーキを幾つかな」
「ケーキか・・・・・・・・・味はまさか!」
「全部同じ味では無い。一応分けるつもりだ。あと溶けない様にアイスにするつもりだが」
「流石は士郎!分かってるじゃないか!しかもアイスなんて犯罪的過ぎる!」
百代は嬉しさのあまり、士郎の背中を思い切りたたく。
それに士郎が辟易している。
「ん?味で悩んでいるんじゃないんだったら、一体何で悩んでるんだ?」
「――――形だ。少し別の話をするが、二年ほど前の準の誕生日で、本人の強い希望で子供(女の子)の形をしたアイスチョコレートケーキを作った事があるんだ」
「おい!」
「・・・・・・言いたいことは判る。ご尤もだ。けどそれで準の犯罪者予備軍的思考に歯止めがかかってくれるならと考えての末の苦渋の決断だったんだ」
(寧ろより重症化させるんじゃ?)
誰もが言いたそうな言葉を百代が心の中で代弁する。
「話を戻すぞ?結局作ってプレゼントしたんだが、ヤバイ呼吸に危ない目で見ながら感謝された」
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