第四十九話
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…………どこまで俺達にオプション付けりゃ気が済むんだよおい。
俺は頭を押さえながらそんなことを思った。
「当然ながら、君のお母さん…………雫さんもそんな感じの夢を見たことがあるってさ。」
いや、そんなどうでもいい情報はこの際置いといて、だ。
「…………ただの悪夢で終わらせるには引っ掛かることが多すぎる、と。」
「うん。ただ、確証がどこにもない。そもそも、『始祖』で沈んだ事のある艦娘が、記録上二人しか居ないんだよね…………。」
その二人とやらは今ごろ海の底だろうか。それとも、深海棲艦として俺達と対立しているのだろうか。
…………でも、たかが夢なんだよなぁ。常識的に考えて。
「…………気にしてても仕方ねぇ、か。」
「まぁ、なにか確証が得られるようなことがあれば話は変わってくるけどね。下手したら、今の均衡状態を打開する一手になるかもしれない。」
そんな危ない橋を渡る気は更々ないけどな。
「むしろさ、『始祖』以外の連中はどうなんだ?」
「いや、悪夢の報告は無いね。」
やっぱり、『始祖』ってのは特別な存在なんだなと、他人事のように思った。何となく、近寄りがたく思うのも納得がいく。
自分のことながら、得体が知れなさすぎる。
初めて海の中に潜るのを木曾に見せたときなんか、驚愕の表情を浮かべてたもんな…………。
こう、艤装の出力を落とすんだよと説明しても、無理だった。
春雨に至ってはエスパーなんじゃねぇかって位、敵の位置をスパスパ当てる。岩陰にいる敵の艦種と数まで当てれるからな…………電探より精度抜群だ。
まぁ、それこそだからどうした、だ。回りにできないことができる、大いに結構。それが役に立つなら万々歳だ。
「…………ところでさ。」
と、俺が考え込んでいたときに提督が切り出してきた。
「千尋ってさ、彼女居るの?」
「……………………。」
この質問、ここに来てから何回目だろうか。
いやまぁね?年頃の男の子が、女の子の中にポツンと一人。どこぞの光源氏なら皆に手を出すし、どこぞのダークネスならラッキースケベ連発だろう。
しかし、俺はそこまで女たらしじゃないし、ここに来てからあったラッキースケベなんて、木曾の入渠事件位だろう。
「…………暫く、そーゆーのは考えないようにしてる。」
俺は、この手の質問にはこう答えるようにしていた。何かもう、色々とめんどくさかった。
「なんつーかな…………まだ何も成し遂げてないような男がそんなこと考えてられねーっつーか…………そんな男が女を幸せにできるのかなって。」
ここは、戦場。今は、戦争の真っ最中。程度の違いはあれど
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