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第2話 王国の内憂
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だろう。エルフは魔法に長けると聞く)
"すきる" と呼ばれる超能力をもつという情報もあったが、信じるものなどいない。
この世界には魔法が存在するが、魔法とは言うほど便利なものではない。
魔法使いの血筋に生まれ、厳しい修行を経たものだけが魔法を使えるようになる。魔法先進国である帝国の魔導軍は大陸最強と誉れ高いが、頭数を揃えるのは難しい。
飛竜の戦力化とて容易ではないが、王国の竜騎士が質と量で帝国魔導軍をいずれ圧倒するだろうと王国軍人は予測していた。
VRMMOなど存在しないのだからスキルシステムを想像できないのは当然だが、たとえ存在していたとしても現実化しているなど思うまい。
当初は「サイエンス&ファンタジー」のアバターだったレーニンだけがスキルを持っていたのだが、彼の血が混ざることでこの世界の住人もスキルが使えるようになったのだ。
スキルスクロールの助けもあり、いまやソ連人民は誰もがスキルを持っている。
お転婆で比較的柔軟な考えをもつとはいえ、良くも悪くも王国貴族な彼女は、その枠外で思考することができなかったのである。せいぜいよく品種改良された飛竜を少数もっているのだろう。特殊な魔法を使っているのだろう。レイリアでさえその程度の考えだった。
祖国が負けるとは微塵も思っていなかったのである。
ソビエト連邦という異文明の脅威を正しく認識するのは、すべてが手遅れになってからであった。いや、もうすでに手遅れだったのかもしれない。
――――眠れる赤熊を目覚めさせてしまったのだから。
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