13話→兎と悪党
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い変人。
『凡人』の中では頂点に立てる力では満足できず、私とちーちゃんという『特別』と見比べて、何とか追い抜こうとする強欲家。
そして誰よりも私を理解してくれる、愛しい人。
「まあ、自己評価が不当に低いのが玉にキズだけどね〜」
あれだけの力がありながら、自身のISに『老兵』と名付ける理由が正にそれだ。
太郎曰く、ちーちゃんのように天才的に真っ直ぐ強い奴が『騎士』の名を持つなら、自分は凡才の『兵士』。
それも、同じ努力では肩を並べられず、死ぬほど努力してやっとこさ同等に立てるのだから、僕の機体は老練な技を使う兵士『老兵』と名乗るのが相応しい。
そんな事を言う太郎を見るたびに、私は思うのだ。
タローちゃんは、自分が思っているよりスゴいんだ!と。
「でも、ただ言っても伝わらないから」
だから、私は彼に思い知らせてやることにした。
彼自身が、どれ程スゴいのかを彼と、世界に。
時計を見る。調度夜中の12時を過ぎたばかりか。
もうすぐ、あの社長はタローちゃんに選択を迫るだろう。
机の引き出しを開けて、私が仕込んだ異空間に仕舞った自由帳を見る。
パラパラとめくる中には、『亡国企業』に所属する企業等の機密が山になっていた。
「大丈夫だよタローちゃん。君は好きに生きれば良い。」
「そして私も、貴方の恋人という事だけ守って後は好き勝手するよ〜。だって、どんなに悪態をついても、タローちゃんは私を見放さないって私が一番知ってるから……」
彼女の瞳から光が消える。
束の理論は、簡潔に言えば、彼氏のワガママを許してあげてるのだから、私のワガママも許してくれるよね?という字面にすると可愛く見えるモノだが……
「君が要らないなら消すし、必要なら少しだけ延命させてあげる。このオモチャ共をね」
大多数の人間に価値を見出ださない束のワガママは、全然穏当じゃない。
太郎が束とこの件を調べた時、彼は束と千冬の安全も考えて、束を止めた。
束はそれを理解した上でわざと言いつけを破り、絶対にばれないように手間をかけて調べた。
そして思った。
この企業、使えるじゃん。
太郎は失念していた。
もはや日常化した束とのやりとりで、彼女の危険性を。
彼女が人間と認識しているのは、極少数の選んだ人間だけだという事実を。
ここ数年、恋人として普通にやりとりしていた太郎は、束が他の『一般人』にどんな仕打ちをするか、想像出来なかったのだ。
「へぇ、各国の正規軍に納入される戦艦と同型艦も所持してるんだ〜。外見弄れば同士討ちとか出来るかな〜夢が広がるぅ〜」
彼女の自由帳の最後には、言葉が添えてあった。
『ISの兵器の有用性を見せつけるには
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