13話→兎と悪党
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代の男の子の手。
頼りないはずのその手が、彼の言葉を聞いたその時から、急に大きく見えて。
差し出された手を握ったのは、いつ以来か。
気づけば、私の手は、彼の手に重なっていた。
その頃から、私達は『仮』仲間として、彼を迎え入れた。
『世界崩壊グループ(仮)』と冗談半分で私が名付けたこのチーム、最初は上手くいかなかった
ちーちゃんとタローちゃんも、最初は目を合わせて五秒でバトルと言わんばかりの仲で、しかもほぼタローちゃんが負けてた。
そう、『負けてた』
タローちゃんのスゴい所はそこだ。
何時からかわからないが、気づいた時にはタローちゃんは篠ノ之神社横の道場で修行していて。
空いている日には、道場で修行している警官の伝で警察道場にまで顔を出して。
半年後、そこには元気にちーちゃんを抱き締める(関節技込み)セクハラをしているタローちゃんが!
「タッバ、ツープラトンだ!俺が尻を触るから、お前は胸を!」
つい魔が差して、セクハラを手伝った私は悪くないと思います(断言)
え、その後?二人ともちーちゃんにお仕置きされたけど。
私がタローちゃんを本当に認める事になったのはその時だ。
いや、別にちーちゃんの体を堪能できたのが理由じゃないよ。
ちーちゃんは、身体能力では他の追随を許さない、天才である。
だから多少の腕に覚えがある、程度ではその力で蹂躙できる。
大した努力も必要なく。
だから、タローちゃんは絶対、最初は悔しかったと思う。
同年代の女の子に、一方的にボコボコにされて。
なのに、タローちゃんは腐らなかった。
努力を積み重ね、才の無い体をちーちゃんと同じ高みまで引き上げた。
それを見たときから、私の中で、タローちゃんだけは他の才能の無い奴等のように『ロボット』には見えなくなった。
私の予想を覆す、イレギュラーな凡才、山田太郎を、私は『人』として見れるようになったから。
私の世界は、ペアからトリオになった。
ついでに、親や先生からのうざい干渉もなくなった。
タローちゃんがクラスで優等生を演じた上で、表面上クラスに溶け込んでいるように見せかけてくれたのだ。
ちなみに、彼に理由を聞くと、『束と千冬と仲良くなるのは俺だけで良い』という欲望丸出しの答えが返ってきて、私は更に喜んだ。
欲望に忠実、私とお揃いだ。
それからは、私の世界は愉しくなった。
いつ頃からか、穏やかになったちーちゃんと、外面に反して私達には餓狼のようにガツガツいくタローちゃんが居れば、私の世界は満たされていた。
だからだろうか?
私が考えて、月の基地をつくる途中で、タローちゃんが事故にあったとき、私は目の前が真っ
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