暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる・外伝
提督はBarにいる×とある提督の幻想殺し 編
不幸な青年提督がやってくる?
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「しかし、ブラック鎮守府の建て直しを任されるとは……羨ましいねぇ。本土は優秀な若手が多くて」

 ブラック鎮守府の建て直しは、鎮守府の経営の健全化だけでは済まない。むしろ帳簿の上では健全そのもの、下手をすると数字だけ見れば優秀な部類に入る場合が多い。……が、艦娘の尊い犠牲の名の下にその成績は成り立っている。心の死んだ艦娘達を立ち直らせ、尚且つ戦績を上げるには提督の運営能力だけでなく、人格的にも優れた人物である必要がある。資料によると上条当麻なる提督は、まだ20代前半の……金城提督からすれば小僧と呼んでも差し支えない位の歳で大佐の地位に就いている。

「そんな事言って。まだ隠居する気なんて全くないじゃないですか、司令は」

「バカ言え、俺ぁとっとと隠居して店でもやりながら嫁とイチャコラしながら暮らしたいと思ってるぞ?」

 これもまた、提督の偽らざる本心だったりする。引退して隠居出来るならとっとと隠居して、嫁艦達を引き取り、ホテルかレストランでもやりながらのんびり楽しくやるのも良いなぁと常日頃から思ってはいるのだ。しかし、今の海軍の現状を鑑みると自分が抜ける訳にも行かないと思っているのもまた事実。ブルネイは『玄関口』であり『中継地』でもあり、『楔』でもあるのだ。

 本土を出発して南方海域・西方海域・南西諸島海域に向かう時には必ず通るし、そこを往き来する船団の休息地にもなっている。そして、南方に棲まう強力な深海棲艦を押し留める防波堤でもある。これだけの重責を一手にこなせる後進がおらず、金城提督に押し付ける形になってしまっている。まぁ、本人は

『代わりがいないなら、俺がいる内にケリを着けるしかねぇだろ?』

 と、大して深刻には考えていないのだが。





「出身地は……不明?オイオイ、手抜きかこりゃあ」

「違いますよぅ。幾ら調べても出てこなかったんです」

「……改竄の痕跡もか?」

「えぇ、綺麗なモンです。まるで、元々この世界に居なかった存在みたいに」

 人が存在する、というのは何かしらの痕跡が残る物だ。在学していた学校、住んでいた街、入院生活が長かったのなら入院していた病院、孤児だとしても、預けられていた孤児院などにその痕跡が残る……例え、巧妙に消されていたとしてもだ。しかしこの上条当麻なる青年の過去は、提督として鎮守府に任官する以前の物が存在しないという。

「そいつぁ……クサいな」

「でしょう?」

 傍迷惑なパパラッチではあるが、諜報員としての青葉の実力を提督は高く買っている。その青葉が手を尽くしてこの上条なる青年の過去を洗っても何も出てこなかったという事は、巧妙に過去を抹消されたか、あるいは荒唐無稽な話だが本当に過去が存在しないのか。

「まぁ、どちらにしろだ。直接会
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ