提督はBarにいる×とある提督の幻想殺し 編
不幸な青年提督がやってくる?
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「あん?怪しい提督がいるから内偵しろだぁ?」
とある日の昼下がり。昼飯も食って、さぁ午後の執務も頑張るかと気合いを入れ直したタイミングで、そのやる気を真っ二つにへし折る電話が掛かってきた。
『そうじゃ。どうにも儂等でもその経歴を追いきれんでな』
「隠居してからも海軍の仕事してんじゃねぇよジジィ。大人しく茶でも啜ってやがれ」
電話の相手は前元帥……まぁ、いつものジジィだ。隠居してからも、というか隠居してからより一層、あちこちの厄介事に首を突っ込んでるらしい。毎度毎度厄介事の種を持ち込んで来やがるのはこのジジィなのだから、いい加減にしろと言ってやりたい。
『まぁそう邪険にしないでくれ、金城』
「教官……」
ジジィのケータイを取り上げたのだろう、電話口に出たのは俺の教官でもあり、ジジィの嫁さんでもある元艦娘の三笠さんだった。ジジィはともかく、教官には偉く世話になっているから頭が上がらない。
『手間をかけさせるからな、それ相応の報酬は準備させてもらう。どうにか受けては貰えないか?』
「そう畏まらないで下さいや、教官にそこまで頼まれちゃあ断り切れんでしょうが」
『受けてくれるか、助かるよ』
『おい小僧!儂への態度と随分差があるのぅ!?』
「当たり前だ、恩人と疫病神を同列に扱えるか」
『にゃにゃにゃ、にゃにおぅ!?』
「いいからとっととデータ送って寄越せよ、じゃあな」
そう言ってギャースカ喚くジジィを無視して電話を切る。それから数分と待たずに俺の仕事用のパソコンにメールが届く。メールを開くとそこには調査してほしい提督の氏名が書かれていた。
「上条……当麻?」
それが調査対象の名前だった。
ジジィからの憂鬱な電話を貰ってから1週間。その日、いつものごとく事前調査を押し付けられた青葉が、本土からブルネイに帰ってきた。帰ってきた時間も業務終了ギリギリの時間で、労いの意味も込めて提督は店に青葉を招き入れる。
「ま、まずは駆け付け一杯」
「おっ……とととと、遠慮なく頂きます!」
ハイボールグラスに並々と注がれるのは『ティーチャーズ』と炭酸水、そこに少々のレモン汁。スモーキーな香りを引き立てるにはハイボールが一番だ。そして青葉の目の前には提督が手ずから作ったツマミが並ぶ。一仕事終えた密偵に酒を振る舞って労うなんて、どこの火付盗賊改方の長官ですか、と密かに時代劇好きの早霜は心の中でツッコミを入れる。が、そんな思いは顔には出さず、ポーカーフェイスでグラス磨きを続ける。親しき仲にも礼儀あり……不必要に相手の懐には飛び込まない。それが早霜のバーテンダーとしてのスタンスだ。提督は逆に酒の力を使って相手の胸襟を開かせて、その下の本音を聞き出そう
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