空母の矜持
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た体を、支える手があった。
「立ちなさい。貴女は指揮官のはずだ」
見上げた鳳翔を迎えたのは、底なしの絶望だった。自らの望みと、現実が全く反対を向いている男の瞳だ。鳳翔には、なぜ彼がこうして生きているのかさえ、信じられなかった。そんな男が、彼女に怒りを向けている。当然の権利だと思った。彼女は自分の足で立つ。手はまだ添えられていた。ふと、笑みがこぼれる。
「冷たい瞳。まるで、あの方たちのよう。きっと、提督にも必要だったのかもしれない」
だが、そうであったのなら愛さなかった。このような男であったならば、きっと愛することなど出来なかったのだ。
「すみません。少し、疲れたようです」
「動いているのは義兄です」
嘲笑した。一体、これまで何人の小僧を男にしてきたと思っているのだ。三十路に届いた程度の若造に慰められるいわれなどない。
鳳翔は颯爽と部屋を後にした。
このやり取りを、瑞鶴を含めて、誰も理解していない。
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