284部分:第二十一話 忌まわしい咳その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十一話 忌まわしい咳その七
「色々なものが食べられるということは幸せなことですね」
「そうですね。それだけで」
「今はこのオリーブやメロン」
「メロンもですか」
「そうしたものは非常に高価です」
まだそうだった時代なのだ。それにバナナもだ。
「しかしやがては。誰もが自由に食べられる様な」
「そうした日本にですね」
「したいですね」
「そうした日本になれば」
どうなのか。真理は漏らす様にして応えた。
「どんな病でも治せるでしょうか」
「そうでしょうね。今も病で死ぬ人は多いですが」
「はい」
「そうした人もかなり」
減ると。義正は話す。
「人は必ず死ぬものですが」
「ですがそれでもですね」
「はい。人は長く生きられるようになり」
そしてだった。
「幸せに過ごせる様になるでしょうね」
「そうした国になればですね」
「我が国は確かに豊かになりました」
維新の頃から考えればだ。確かにそうだった。
「ですがそれでもです」
「まだまだですか」
「何時か。こうしたものが誰でもふんだんに食べられて」
そのオリーブを使った本格的なスパゲティと。その他の様々なものがだ。
「車が日本中を多く走る」
「そうした日本にですか」
「したいですね」
微笑みだ。真理に話すのだった。
「私が携わっている鉄道や百貨店も」
「その二つもですか」
「線路をより広く。列車は速く中はくつろげ」
そして。その次に言うのは。
「百貨店はより多く建ち中も賑やかになり」
「豪華にですね」
「なっていくべきです」
こう話すのだった。
「そうしたいです」
「何か。日本はこれから」
「素晴らしくなります」
断言だった。よくなるというのだ。
「必ずです」
「そうですね。きっと」
「そうなります」
義正は明るく確かな言葉で話す。
「必ずです」
「これまでもそうでしたし」
「これからも」
彼は希望を見ていた。真理と違って。
そのうえでだ。今度はだ。
二人がパスタを食べ終えワインも飲んだ後でだ。彼女に問うたのだった。
「さて、それでは」
「次はですか」
「デザートですが」
「このお店には何がありますか」
「伊太利亜のお菓子。それに」
「それに?」
「新鮮な果物があります」
それもあるというのだ。果物もだ。
真理はだ。ここではその果物に心を向けた。それでだった。
具体的にだ。どうした果物があるかだ。義正に尋ねたのだった。
「どういった果物が、ですか」
「はい。何があるでしょうか」
「店の人を呼びますか」
「そうして聞いてですね」
「はい、確めましょう」
こう話してだ。義正は店の者、白いブラウスに黒いズボンとベストの洒落た格好の若い男の彼に対
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ