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提督はただ一度唱和する
詭道なればなり
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た空母が逃げ込む先は、一つしかない。旭川第11剣虎兵大隊所属、第二中隊派遣地域。新城のいる場所だ。その先には辿り着いても意味はなく、その手前では捕捉される。
 たった二〇〇名の歩兵と、剣牙虎だけが、北海道を救う最後の希望であった。保障も公算もない、ただ可能性としての。
 弱音を吐くことは簡単だ。逃げ出すことも出来るだろう。
 だが、現実は常に理不尽なまでに狂った合理性を示す。
 雪に囲まれ、孤立した中隊。
 もしも彼らに生き残る道があるとしたら、深海棲艦の食道に向けて突撃すること。
 希望というのは、まったくもって本当に、嘔吐以下である。
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