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儚き想い、されど永遠の想い
283部分:第二十一話 忌まわしい咳その六
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第二十一話 忌まわしい咳その六

 それでだ。佐藤と似た様なことを言ったのだった。
「あれですね。西洋の麺類でしたね」
「言うならばそうです」
「それを今からですか」
「二人で食べましょう」
 そうしようというのだ。
「あの店で」
「わかりました」
 やはり笑みはないがそれでもだ。真理は答えた。
 そうしてだ。二人でその店に向かってだ。
 海がよく見えるテラスの席に座りだ。そのうえでだった。
 義正と真理の前にスパゲティが来た。それは。
 トマトをふんだんに使いガーリックに茄子が入っている。そのスパゲティが来た。白の皿の上のそれを見てだ。真理はこう義正に尋ねた。
「あの。このスパゲティは」
「何か」
「油が違うのでしょうか」
 スパゲティとソースに見られる緑っぽい色の透明の油を見ての言葉だ。
「そう見えるのですが」
「オリーブです」
「オリーブといいますと」
「西洋の油の一つでして」
 こうだ。真理に説明するのだった。
「オリーブという実から採れます」
「それを使っているのですか」
「我が国ではないかなり貴重な油です」
 それがこのオリーブ油だというのだ。
「この店はわざわざ伊太利亜から取り寄せて使っているのです」
「そこまでしてなのですね」
「本場の味を出しています」
「凝っていますね」
「凝っているだけに」
 それだけにだとだ。義正は微笑み話していく。
「味はかなりいいです」
「それにトマトや大蒜もふんだんに使われていますね」
「それだけに身体にもいいですから」
「ではこれを食べて」
「はい、御気を明るくさせて下さい」
 微笑みをそのままにして真理にまた話した。
「是非共」
「わかりました。それでは」
 真理は義正の言葉に応えフォークを手にしてだ。
 そのスパゲティを食べてみる。そうしてだ。
 義正のだ。問いに答えたのだった。
「如何でしょうか」
「何かこれまでの」
「これまでのといいますと」
「食べてきたスパゲティがです」
「違うものに思えますね」
「はい、とても」
 その通りだというのだ。
「これがオリーブの力なのですね」
「不思議な油ですよね」
「そうですね。特別な味に思えます」
「私は今このオリーブに凝っていまして」
「そうなのですか」
「家の料理にも使って欲しいと考えています」
 真理にこう話すのだった。
「ただ。かなり高いですが」
「お金はかかるのですね」
「日本にはないので」
 それで高いというのだ。
「どうしても。ですが」
「ですが?」
「このことについても考えています」
 義正はまた真理にこう話した。
「何時かは。オリーブをです」
「普通に誰もが食べられるようにですね」
「したいと考えています」

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