第四十一話 大江山その六
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「そうなります、罪が重ければ地獄です」
「軽ければ煉獄だな」
「そして善行が重ければ」
その者はというと。
「天国に行きます」
「そうなるな」
「はい」
尚煉獄で罪が清められれば天国に行くことになっている、このことはダンテの神曲に書かれている通りだろうか。
「まさにそれぞれの宗教で違います」
「神も仏も信じない輩がいるが」
「そうした人はです」
彼等はというと。
「死んで終わりです」
「そうなるか」
「無神論の場合は」
「それが信じる死後の世界だからか」
「何もありません」
「死ねば終わりか」
「はい、まさに」
それが無神論者の死後の世界だというのだ。
「死後の世界には何もない、そもそもそうした世界がないとです」
「信じているからだな」
「そうした死生観なのね」
「死ねば終わりか」
「そうなります」
こう英雄に話した。
「無神論者ですと」
「そうなのか、では俺はだ」
英雄はここまで聞いてこう言った。
「黄泉平坂から冥府に行くな」
「神道ですか」
「俺は仏教も信じているつもりだがな」
「どちらかというと神道だからですか」
「そちらになるか」
こう言うのだった。
「俺の場合は」
「それもまたです」
「死後の世界だな」
「はい、神道を信じていますと」
日本のだ。
「そちらの死後の世界になります」
「やはりそうなるか」
「仏教ですと十界のうちどちらかです」
六界と言うのが普通だが謙二はここでは世界をこう話した、これも仏教で言われていることである。
「転生します」
「この世界で魂が死ぬとか」
「そうなります」
「わかった、ではだ」
「地獄にですか」
「送ってやる」
賊共全てをというのだ。
「そうしてやる」
「そうですか」
「無駄な殺生はするなと言うのか」
「いえ、拙僧も戦っています」
それならばとだ、謙二は英雄に目を閉じて厳かな態度で答えた。
「ですから」
「殺生にもか」
「これまで関わってきましたし」
魔物達との戦いにだ、実際に謙二もまた術を使い時には武器である薙刀を手にして魔物達を倒している。無論賊達もだ。
「ですから」
「これからも賊達をだな」
「倒します」
こう英雄に約束したのだった。
「そうします」
「そうか、ではな」
「はい、敵の館に入り」
「四人でだな」
「賊達を地獄に送りましょう」
そうしようとだ、英雄に自ら言った。
「そうしましょう、そして」
「それだけではないな」
「地獄に送ります、しかしです」
「その供養は忘れないか」
「例え地獄に送るにしましても」
その魂をだ、尚これは謙二が戦いの都度常にしていることだ。
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