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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
侍娘-クリスティナ-part3/クリスの師
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のあまり自分方とって来た道を完全に取り違えていた。要はパニックになりすぎて道に迷っていたのである。
 突然姿を見せた怪獣には、城並みの巨体ということもあってオクセンシェルナ王たちも当然ながら気づいた。国の未来を担う者であり、大切な愛娘が姿を消しているこの状況で焦らざるを得なかったが、クリスを餌と見て彼女を追い続けるゲロンガの方が圧倒的に距離をつめていた。つまり、今から急いでも間に合わないのだ。
「助けて!助けて父上!!みんな!!」
 逃げ続けていくクリスだが、すでに助けが来るような場所ではなかった。走り続ければするほど、彼女が助けを求めている人たちの元から離れていく。そんな彼女を、ゲロンガは追い続けた。周囲の木々を踏み倒し、自分が食べていた鹿と同様に彼女をも食らおうとしていた。
すると、クリスは足元の木の根で転んでしまう。獲物の足が止まったことで、ゲロンガはついに新たな餌に食らいつけることを確信し、大きく口を開く。鹿の血で赤く染まった牙を見て、ひぃ…と悲鳴を漏らす。もう自分は…ここでこの化け物に食い殺されるのだと確信して。
しかし、そんなときだった。
「ガアアアアアアアア!!?」
 ゲロンガの牙は、クリスの体に食い込むことなく切り裂かれた。食われる直前に彼女の前に現れた、侍によって。
 クリスは目を見開いた。彼の着込んでいる砂埃や汗ですっかり汚れた袴、振るった刀、後頭部の塔のような形状の髪。ハルケギニアでは全く見たことも気痛いこともない身なりであった。
 牙を切り落とされたゲロンガはひどく苦しみ、動揺していた。目の前に現れた、餌と決めた少女を守るように立ち塞がった男に自慢の牙を折られたゲロンガは、泣き叫びながら踵を返して逃げ出した。よほど自慢の牙を折られたのが悲しかったらしい。
 ゲロンガの姿が見えなくなったところで、侍は刀を鞘にしまい、クリスの方を振り返った。
「娘よ、大事無いでござるか?」
 これがクリスと、彼女の師となる妖魔退治の侍『錦田小十郎景竜』の出会いだった。
その後、影竜は皇女の危機を救った恩人としてオクセンシェルナ王は彼を城に招くことを決めた。メイジでもないにもかかわらず、規格外の魔物を追い払って姫を救った男。中には影竜に疑惑の視線を向ける者もいたが、王がそういった疑いの目を向ける者を説き伏せた。娘を救った恩に、何か褒美を取らせようと王が影竜に言うが、彼はそれを断った。
「せっかくのお誘いだが、丁重にお断りいたす」
 誰もが、国王自らの褒美を断った影竜の姿勢に驚いた。ゲルマニアだと領地さえも与えられるかもしれないほどの活躍だった。それに変わる褒美も間違いなく、平民はおろかそこいらの貴族が一生休まず働いても手につけられないほどのものかもしれない。だがこの男は、それを手に入れるチャンスを自ら手放したのだ。王族に取り入
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