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儚き想い、されど永遠の想い
276部分:第二十話 誰にも言えないその十一
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第二十話 誰にも言えないその十一

 その話をしてだった。義愛がだ。
 話が一段落したと見てだ。弟や妹達にこう話した。
「さて、折角久し振りに兄弟が揃ったし」
「それならですか」
「そう。何か楽しいことをしよう」
 こうだ。義智に対しても話すのだった。
「兄弟で」
「それでしたら」
 すぐにだ。義智は兄にこう提案した。その提案したことは。
「お茶にしましょう」
「お茶。茶道かな」
「今の義美の服を見て思いました」
 見ればだ。彼等は今は洋室にいる。しかし義美だけは和服である。赤と桃の二色の着物、それに紅の帯だ。その姿でいるのだ。
 その和服を見てだ。義智は言うのだった。
「和室に入り茶道を楽しみましょう」
「茶道か。いいな」
 茶道と聞いてだ。義愛はすぐにこう返した。
 そのうえでだ。あらためて兄弟達に話した。
「では茶室に入るか」
「はい」
「そうしましょう」
 義正と義美が応える。義智についてはもう言うまでもなかった。
 こうしてだ。兄弟四人でその茶室の中に入った。狭い入り口を潜りそのうえで狭い茶室に入る。その中に入ってだった。
 義愛が茶を淹れ弟や妹達に勧める。彼等もそれを飲む。
 一杯飲んでからだ。義智が言った。
「洋服で茶を飲むというのもです」
「いいものに思うか」
「はい。近頃思うのですが」
 微笑みながらだ。兄に話す彼だった。
「ただ洋風、和風のみに捉われるのではなく」
「どちらも共に楽しむか」
「それもまたいいのではないでしょうか」
 実際に洋服で正座をしながらだ。義智はさらに話す。
「それは支那風についても同じです」
「そうだな。洋風も和風もいいのならな」
「支那も同じですね」
「言われてみればそうだ」
 微笑みだ。義智も次弟の言葉に頷く。
「そうなるな」
「洋服で茶を飲むのも」
 どうかというのだ。それは。
「非常にいいですね」
「確かに。私も今こうして茶を飲んだが」
「どうでしょうか」
「またいいものだ」
 微笑みだ。義愛は次弟に答える。
「実際にな」
「一つにこだわっても生まれるものは限られています」
「様々なものを取り入れてこそ」
「新しいものが生まれるな」
「はい。それにです」
 さらにだとだ。話す義智だった。
「洋服とはいっても茶の味は変わりませんね」
「同じだけ美味だな」
「こだわる必要がないならば」
 その場合はだ。どうかというと。
「取り入れればいいのです」
「そういうことだな」
「では」 
 さらにだ。義愛はまた茶を淹れた。
 そうして再び弟達と妹に振る舞い自らも飲みだ。話すのだった。
「やはり美味い」
「確かに」
「いい味です」
 ここでだ。言ったのは義正だった。
 彼もまた洋服だ。
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