EX回:第44話(改2)<ブルネイ再び>
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表情をする彼女を尻目に私は思わず後頭部に手をやって苦笑した。
すると青葉さんが飛び出してきて、ここぞとばかりに私たちを連写する。
「おい、こんなとこ撮るな! ……ほら彼女(五月雨)も困っている」
「あ、いやいや」
私の制止に青葉さんはカメラを止めた。
「ちょっとテストを兼ねて……ね」
悪戯っぽく舌を出した彼女。
やや気を取り直したように五月雨は言った。
「では……提督は、こちらの操舵席前、艦長席へどうぞ。機体は暫く係留いたしますので機長は無線の指示に従ってください」
てきぱきと、淡々と物事が進む。
(本当に変わらないんだな、五月雨は)
私は、なぜかホッとした。そこだけ変わらないものを感じたから。
私たちは各自、荷物を抱えて内火艇へと移動した。
五月雨は無線で連絡をしていたが何度か頷いて合図を出した。やがて内火艇はゆっくりと出発した。
当然ながらブルネイの港湾内は見事に変わっていなかった。
それに停泊中の艦船や各種の装備類も基本的に美保と同じだ。同じ時代だから至極、当たり前の話だ。
(まあ軍隊なんて、どこも変わらないよな)
鎮守府全体は落ち着いていたが……美保の面々も最初は若干の違和感を覚えていたようだが直ぐに金剛姉妹を中心にワイワイ騒ぎ出す。
その光景を見ながら私は、これがいつもの「みほちん」だな、と思った。
青葉さんは……隠しカメラか? お前も懲りないな。
何となく五月雨が気にしてチラチラ見ているが青葉という重巡相手だから少々遠慮している。
その遠慮がちな姿がまた可愛い。
そのとき私は、あの武蔵様の台詞が頭の中に甦ってきた。
『目に見えない物ほど、永遠に残る』
(……あの武蔵様も、ここに居るのかな? いや、まだか)
ふと見ると龍田さんが海面を撫でながら雫を垂らして手のひらを見つめている。やることは相変わらず同じだなあ。
そして見上げると青い空と白い雲。やっぱり暑い。これも変わらないな。
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