12話→社長の真意と始まりの鐘@
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郎には出来なかった。
そんな怪しい企業は打倒すべきだ?
そんな一銭にもならない事を嬉々として行うほど、太郎は善人ではない。
だから、個人的に束の協力の下、ある程度調べた後、他の誰にも言わずに知らないふりをして過ごして来たのに……
「社長、差し出がましいようですが、今は会社の重要なプロジェクトの最中です。不用意に余計な事に手間をかけるのは下策だと」
言葉こそ丁寧だが、はっきりと社長が出した言葉、『亡国企業』に関して触らないよう釘を刺す。
ただ、当然太郎には社長に命令する権限などない。
あくまで、お願いするだけ。
「ふむ……その反応を見ると、ある程度調べて止めたか……やはり君は賢明だね」
その答えに太郎は又混乱する。
事前に調べた?危険だと認識している?
では何故、ここで議題にだしたのだ?
意図が読めない話の流れに困惑をする太郎を尻目に、社長は、はっきりと答えた。
「困惑をする君に、先ほど、問いを投げた理由を言おう……なに、大したことではないのだが、ここまでわが社に関わり、息子によくしてもらっている君に黙っておくのも気がとがめてね」
社長は続けた。
「亡国企業の上層部、複数の大企業の役員等からなる幹部会に、我々の会社もかんでいる、それを伝えたかった。それだけの事だ」
再び太郎と社長の間に沈黙がおりた。
だが、太郎の脳内はその沈黙とは裏腹に、目まぐるしく動いていた。
さて、まず太郎が考えたのは自身の安全であるが、これは問題ない。
彼が今、左手に巻いている時計。
これは、束から最近誕生日に頼んで作ってもらったもので、自分に飛び道具、例えば銃弾等が放たれた場合、自動的に弾くことができる。
その間に、ISを起動させて逃げればよい。
千冬と束を拾って。
二人の安全?そもそも、俺にこの時計を作った束と、千冬には同様のタイプのアクセサリーを渡しているし、不意討ちなど、動物的な勘が異常発達している千冬や、そもそも俺達以外の人間を信用していない束には効かない。
唯一怖いのは一夏を人質にとられる事ではあるが、まあ、ここにちょうど交換しやすい奴(社長)がいるから誘拐してトレードすればよい。
おっと、まだ敵対が決まったわけではないのに気が逸ってしまったな。
不用意に喧嘩を売るのは早計だ。売るのは、社長の真意を聞いた後でなければ。
心を隠して、太郎は社長に改めて意図を問う。
「……お話の意図がイマイチ読めませんね。亡国企業に属しているから、何だと?別に此方に被害が及ばないのなら、問題はありませんが」
そう返す太郎に、今度は社長が目を見開いた。
「……君が亡国企業をある程度知っているのなら、その主な業務も知ってい
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