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レーヴァティン
第四十話 偸盗その十

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「だから食うに困って賊になった輩もな」
「少ない筈ですね」
「だというのにそれだけの賊がいる」
「最初から悪事で生きようとしている輩である可能性が高い」
「そうした連中は放ってはおけない」
 絶対にという言葉だった。
「一刻も早く成敗してだ」
「民衆の苦痛を取り除くべきです」
「その通りだ、だからだ」
 これからと言う英雄だった。
「すぐに大江山に行こう」
「そうしましょう、地図もあります」
 良太はそれを出してきた。
「大江山までのもの、大江山自体のものも」
「両方だな」
「ありますので」
 だからだというのだ。
「無事に辿り着けます」
「それは有り難いな」
「やはり地図は欠かせません」
「旅にはな」
「そしてこれもあります」
 良太はもう一つ出してきた、それは漢字で方角が書かれている丸い箱であり上の部分は硝子になっている。そして箱の箱の中には棒が置かれている。
 その箱を見てだ、智が言った。
「方位磁石でござるな」
「これもありますので」
「方角のこともわかるでごわずな」
「地図と合わせて使えば」
「余計に頼りになるでござるな」
「はい、ですから」 
 それでというのだ。
「安心して進めます」
「それは何よりでござる」
「地図は欠かせませんが」
 旅にはとだ、良太は智にもこう話した。
「そこに方位磁石もあれば」
「鬼に金棒ということです」
「有り難い、ではな」
「はい、地図と方位磁石の力も借りて」
「大江山に行こう」
「これより」
 英雄は良太にも応えた、そしてだった。
 四人で大江山を向かう、朝は日の出と共に起きて時折出会う魔物達を倒し山の果実や魚、そして獣達も獲り狩ってだった。
 食べながら進んでいた、そして夜は暗くなると休んだが。
 この夜は釣った魚を焼いて食べてだ、英雄は共に焼き魚を食べる仲間達に言った。
「夜はやはりな」
「休むべきでござる」
「夜は視界が悪い」
 このことが念頭にあってだった、一行は夜は休んでいるのだ。
「普通の道とは違うからな」
「若し崖等があれば」
「昼なら見えて難を逃れられるが」
「夜ならそうはいかない」
 それは見えないからだ、同じ場所でも見えるのと見えないのとでは全く違う。昼と夜では別世界なのだ。
 だからだ、夜はというのだ。
「出来る限りこうしてだ」
「休んで、でござるよ」
「寝るべきだ」
「その通りでござる」
 智は木の枝に刺した魚を食いつつ英雄に答えた、見れば鮎である。
「食事を摂りそうして」
「ゆっくり休んでな」
「朝と昼に進むべきでござる」
「魔物が出て来てもだ」
 英雄は自分達の前にある火を見た、四人は今は火を囲んで暖を取ると共にそれを灯りにもしているのだ。
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