第3話
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ぎゅっと目を瞑り、咄嗟に手で目をガードするような体制を取る。
暫くしてから恐る恐る目を開けてみると、光はおさまっていた。光の影響で目の奥がじくじくと痛む。
目をぱちぱちさせて痛みを抑える。
そういえば、猫。光は猫から発していたはず。
その猫は光に耐えられたのだろうか。
運悪く失明などしていないか心配になる。
けれど、元いた場所に猫はいなかった。
『………えっ?』
代わりに、1人の小さく細い少女がいた。
『あ、え、あれ…?』
水で濡れた長く美しい白い髪。
髪の毛に負けないくらいに白い肌。
華奢な体に纏われた可愛らしい服。
この子から紡がれた、困惑の色が見える
声は、言葉は、とても可愛らしく目を引くものだった。
体格的に、十代前半と言ったところだろうか。
…否、今はそんなことを考えている場合じゃない。
まず、この子の事を聞かないといけない。
『…どなたかしら?』
冷静に問いかけているように見えるが、心の中はまだ落ち着きを取り戻せていない。
大丈夫、大丈夫。ゆっくり深呼吸して、落ち着けば大丈夫。
『あっ…と…私は…と、閉じ込められてたはずなんですけど…』
W閉じ込められてたW
と聞いて咄嗟にフランお嬢様を思い出した。
今はもう和解しているが、この子は一体なんの理由があり閉じ込められていたのだろう。そしてなぜ
閉じ込められていたのにここにいるのだろう。
というか、元々猫だったはずじゃ…。
…疑問が多すぎる。ひとつずつ順を追って聞いていこう。
『まず、貴方の名は?』
『…私、名前はありません』
『………貴方は猫なのかしら?それとも…』
目線を合わせようと屈んだ時だった。
『………!!?』
いままでは感じ取れなかったから油断していた。
少し近づいただけだが、すごい妖気を
放っていることに気づいた。
『あ…わ、私は猫叉…で…』
『わ…わかったわ。…それで、閉じ込められていた、と言っていたけど…それは何故かしら?』
『わ…私、実は…っくしゅん!』
くしゃみをした途端、猫耳がぴょこんと
たった。
そういえば、ずっと微温湯をかけていただけだったばっかりに、水が冷えてしまったのかもしれない。
『…話をするのは、後にしましょう。』
『は、はい…すみません』
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