268部分:第二十話 誰にも言えないその三
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第二十話 誰にも言えないその三
婆やはだ。曇った顔でメイド達に話した。
「お嬢様だけれど」
「何かおかしいですね」
「塞ぎ込んでおられますが」
「何かあったのかしら」
曇った顔でだ。こう彼女達に話すのである。
「やはり」
「何かなければああなられない筈がないですし」
「それを考えますとやはり」
「何かあったのでしょう」
「それが何かはわからないですが」
「そうね。あったのね」
婆やもそれは察したのだった。
しかしだ。それでもだった。
その何かがわからずにだ。困った顔で言うのだった。
「問題はそれが何かだけれど」
「そうですね。あったことは間違いないですが」
「それがどういったものか」
「それが問題なのですけれど」
それがどうしてもわからずだ。彼女達は。
真理のことをだ。考えるのだった。
「旦那様と喧嘩された訳ではないでしょうし」
「旦那様はそうした方ではありませんね」
「はい、確かに」
「あの方も奥様も」
「そうしたことは」
しないとだ。彼女達は真理のことだけでなくだ。義正のこともわかっていた。
それでだ。この可能性はないとした。
そしてだ。さらにだった。
では何故真理が暗い気持ちになっているのかを考えていくのだった。
「御身体が悪いのでしょうか」
「やはり」
「そうなのでしょうか」
「何処か」
「そうでしょうか」
これは間違っていなかった。しかしだ。
どうした病なのかはだ。それは。
婆やがだ。こう言ったのだった。
「風邪かしら」
「風邪でしょうか」
「それでしょうか」
「ええ、風邪ではないかしら」
こう言ったのである。メイド達に。
「顔色も悪いし」
「この前風邪をひかれましたし」
「ぶりかえしたのでしょうか」
「そうではないでしょうか」
「だとすれば」
婆やは風邪を深刻に考えていた。それでだ。
彼女はだ。こう言ったのだった。
「お薬だけでなく」
「それだけではなくですね」
「さらにですね」
「美味しくて身体のいいものをシェフに頼みましょう」
こうメイド達に提案するのだった。
「それはどうかしら」
「はい、それでいいかと」
「そう思いますが」
「私もです」
「それでは」
こうしてだ。婆やはだ。
また薬を用意しただけでなくだ。シェフ達に美味しく身体のいいものを作ってもらいだ。そうしたのである。
すぐにだ。真理にだった。シェフが腕によりをかけたメニューが出されたのだった。
それは鶏肉だった。鶏肉をソテーにして大蒜を利かせたものだ。それに玉葱と人参のスープ、ボイルドベジタブル、デザートは無花果だ。こうした洋風の料理だった。
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