ペルソナ3
1958話
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、時を自由に操るという事は、そういう風な行為が可能になる訳だ。……けど、実際にはその時を操る神器とやらは完成しなかったんだろ?」
改めて美鶴に視線を向けて尋ねると、美鶴は苦い表情を浮かべつつ頷く。
「そうだ。祖父も最初は時を操る神器を研究していた筈だ。だが……いつの頃からか、滅びを求めるようになった」
『は?』
話を聞いていた何人かが、何故そのような事になるのかといった具合に声を上げる。
実際、それは普通の感覚なのだろう。
「お前の爺さんは、破滅願望でも持ってたのか?」
「恐らくはな。アクセルの言う破滅願望を、最初から持っていたのか……それともシャドウや黄昏の羽根の研究で持つようになったのか。その辺の詳しい事情は分からない。だが、それでも……全ての滅びを求めるようになったのは、間違いのない事実だ。それが10年前に起きた事故の真実となる」
元々そういう願望を持っていたのかどうかは分からないが、厄介な相手なのは間違いないな。
それこそ、時を操る神器とやらがあるのなら、過去に戻って美鶴の祖父を殺してやりたい程には。
「そして、祖父が行った実験が失敗した結果……影時間というものが生まれたのだ」
「……実験が成功するよりはよかったけど、厄介な失敗だったな」
「そうね」
俺の呟きに、短く呟くゆかり。
ゆかりの過去を思えば、そう思うのも無理はないだろう。
美鶴の祖父が行った実験により受けてきた被害を思えば、とてもではないが笑ってすませることは出来ないのだろう。
そうして何かを考えていたゆかりだったが、やがて美鶴に向けて口を開く。
「つまり、私達が今やっていることは……桐条先輩のお爺さんの後始末って事になるんですか?」
「……言い方は悪いが、そうなる」
苦虫を噛み潰したかのような、美鶴の表情。
過去の件から桐条グループを嫌っていたゆかりだったが、美鶴とは良好な関係を気づいていた。
それこそ、メールをやり取りするくらいには。
そんなゆかりに恨まれるかもしれない。
それは美鶴にとって、出来るだけ避けたかったことなのだろう。
ゆかりからの言葉を待つ美鶴は、どこか審判を待ってるような犯罪者のような感じすらする。
周囲の者達も、そんな2人から発せられる雰囲気を感じ取ったのか、全員が黙り込む。
そのまま数秒……いや、十数秒か。
ともあれ、それくらいの沈黙の後に、ゆかりが口を開く。
「そっか。……分かりました。私は今まで通りでいいです」
「……いい、のか?」
予想外に軽く出たゆかりの言葉に、美鶴が信じられないといった様子で呟く。
実際、俺もそんなゆかりの言葉に驚いていた1人だ。
ゆかりが過去にどのような経験をしてきたか……そして桐条グループ
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