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ドリトル先生と奈良の三山
第五幕その七
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 皆はその跡を見てです、こうお話しました。
「何かね」
「あまりこれといってね」
「広くなくて」
「質素な感じよね」
「一四〇〇年位前の宮殿だし」
「こんな感じなのかしら」
「そう、まだ平城京みたいな本格的な都でもなかったしね」
 先生は昨日まで観ていた奈良のお話をするのでした。
「ここに皇居があって周りに貴族のお屋敷があって民衆の家々もある」
「そんな感じだったの」
「それが当時の日本の都だったの」
「そうだったのね」
「まだ朝廷の治めている地域もね」
 そちらもというのです。
「ほら、日本武尊が西に東に行っているね」
「うん、朝廷に従わない豪族や神様を降しているよね」
「神話のお話よね」
「そうして最期は倒れるのよね」
「愛知県の辺りで」
「そうだね、西日本からかろうじて関東辺りまでだね」 
 それ位だというのです。
「当時の日本が治めていた地域は」
「ううん、東北とかはまだで」
「関東はかろうじてなの」
「そんな感じだったのね」
「しかも拠点となっている大和や近畿はしっかりしていたけれど」
 その統治がというのです。
「その他の地域はね」
「まだまだだったのね」
「統治が充分じゃなかった」
「そうだったの」
「そうだよ、飛鳥時代はまだまだね」
 この頃はというのです。
「統治が弱かったんだ」
「それで朝廷もなんだ」
「ここで慎ましやかにあったのね」
「奈良時代と比べても」
「それに平安時代と比べても」
「まだまだそれを確立していた頃で」
 それでというのです。
「朝廷が日本全土を統治出来る様になったのはまだまだ先なんだ」
「そういえば」 
 ここでホワイティが言いました。
「東北とか蝦夷って言ってたそうだね」
「北海道だけじゃなくてね」
「そうだったわね」
 チープサイドの家族はホワイティのその言葉に応えます。
「それでね」
「東北の方もそうで」
「結構後になっても戦にもなっていて」
「関東もね」
「昔は相当な僻地だったんだよね」 
 オシツオサレツはこの地域のことを言います。
「もう誰もいないと思われている様な」
「そんな感じだったのよね」
「富士山までは西国だった?」
 チーチーはこの山を思い出しました、日本を代表する山を。
「それで東国になると異国みたいだったんだ」
「それで飛鳥時代になると」
 トートーも考える顔になっています。
「もうその西国統治も固まっていなかったんだ」
「それで都も小さかったのね」
 ダブダブはその都跡を観ています。
「この通り」
「統治が固まって国力も備わって」
 ジップは奈良の方をです、無意識のうちに見ました。
「それでだね」
「平城京みたいな凄い都を築ける様になったんだ」
 ガブガ
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