263部分:第十九話 喀血その十五
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第十九話 喀血その十五
「慶事です」
「さもなければ私達は今は」
「露西亜になっていました」
ただし国力はかなり消耗してしまった。間違ってもこの戦争に勝ったことにより戦争が儲かるものは考えもしなかったのである。
財閥にしろ戦争が起これば仕事ができなくなる。貿易がだ。それがわかっていないのがそのソ連から入った共産主義なのだ。
だが婆やは共産主義のことについては知らないし言いもしない。ただここでこの詩人のことをその話に出して真理に言うのだった。
「与謝野晶子ですが」
「あの君死にたもうことなかれのですね」
「あの人もです」
「そうですね。他の詩ではですね」
「あの戦争を支持していました」
実はだ。彼女にしてもそうだったのだ。
「さもなければまことにです」
「我が国が危うかったからこそ」
「そのことは後の世ではどう思われるかwかありませんが」
「しかし事実ですね」
「事実は嘘を吐きません」
それを捻じ曲げる輩はいてもなのだ。
「ですから」
「そうですね。私もそう思います」
「あの戦争は不安に満ちていましたがすべき戦争でした」
これが婆やのあの戦争への結論だった。
「そして勝つしかなかったのです」
「奇跡が起こり勝てて」
「色々と不思議な話もありますが」
「これは聞いたことですが」
ふとだ。真理が言った。
「今の皇太后様の枕元にです」
「あの人が出たそうですね」
「坂本竜馬が」
この伝説がだ。実際に残っているのだ。
「出て来てそのうえであの海戦の勝利を告げたとか」
「日本海のあの」
「他にも出航前の船に鳥達が止まったり」
そうしたこともあったのだ。
「白い軍勢が現れて助けてくれたとも」
「奇怪な話ですね」
「やはり。我が国は勝てたのは」
どうかと。婆やはまた言った。
「奇跡だったのです」
「それだったのですね」
「八百万の神々も力になってくれたのです」
「我が国を勝たせる為に」
「勝つのは運命だったのかも知れませんが」
それ以上ものがあったというのだ。あの戦争には。
「本当に不思議な奇跡です」
「まことに。そうですね」
「婆やはそのことを嬉しく思います」
そのだ。奇跡のことをだというのだ。
「心からです」
「あの戦争に勝てて今の日本もあるからこそ」
「あります。そして」
「そして、ですか」
「誇りを守れました」
「我が国の誇りが」
「はい、守れました」
そうだとだ。婆やは安堵している顔で真理に話すのである。
「まことによかったです」
「誇りですね」
「人は誇りを忘れれば終わりです」
このことはだ。毅然として話す婆やだった。
「国家もです」
「どんなものも誇りを忘れれば」
「それでなのですが」
「はい
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