CAST21
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、全く付いていけなかった。
俺の専門はハード。
だがソフトがからっきしという訳ではこの職はやっていけない。
それに窓際とはいえ最大手のFLTのエンジニア…他の者より知識は有るという自負があった。
だがどうだろうか?
今や子供の話す内容にすら着いていけないとは…
「ええ、白夜君と達也さんならば、きっとこのFLT…いえ、この日本という国を支える者となるでしょう」
「でしょうな」
極夜さんの言うとおり、二人はこれからの日本を支える魔工師になるだろう。
「ああ、所で牛山主任。今日は達也さんのお義父様はいらっしゃるのかしら?」
「ええ、来ていると思いますが…」
何故本部長の名前が出てくるんだ?
「では、少し席をはずしますわ」
「は、はぁ…?」
席を立ち、第三課から出ようとした極夜さんは、唐突に足を止めた。
「牛山主任」
振り返った彼女の目は、ガラス玉のように何も写していなかった。
「はい」
「極夜君と達也さんの事は、第三課の外には漏らさないでくださいね。
例え社内であろうと、二人の事は内密に。
でなければ、貴殿方第三課メンバーの命の保証はありません」
殺気
マンガやアニメ、小説で見掛ける言葉だが…
なるほど、殺気とは実在するらしい。
「わ、わかりました」
「では。少ししたら戻りますわ」
カシュンと閉まったドアの向こうに消えた彼女が、とてつもなく恐ろしい化物に見えたのは……
俺の錯覚だろうか…?
俺達第三課、いや、FLTは、とんでもない物を、懐に抱え込んだんじゃないのか…?
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