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提督はただ一度唱和する
ままならない終わり際
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きるものか。しかも総力戦という狂気の時代から蘇っているのだ。なのに奴ら、狩猟採集生活をしている。
 恨みつらみなど関係ない。人類社会が標的になるはずである。
 軍として行動してくれるのならば、手強くとも、例え敗北しようとも、被害は軍が負う。だが、彼女らがひとたび捕食者として行動を始めれば、敗北はなくとも国は滅ぶのだ。
 だが、既にそういった危機からは遠のいて久しい。日本国土が攻撃目標としてはともかく、餌場としては不適格であると、円匙を叩き込んで教育したからだ。
 だから理解出来ない。本物の物量が支配する、全く統制のない生存競争のおぞましさを。
 軍事行動というのは、兵士が寝ていても資材を消耗する。腹が減るのだ。しかも時期が悪い。サンマが南下してくるのだ。かてて加えて、移動した戦力の行方も不明。
 陸軍の、統合幕僚本部の結論は、深海棲艦の上陸を阻止出来ないというもの。重要な食糧生産拠点である北海道は食い荒らされる。さらに、今年のサンマ漁は諦めねばなるまい。食糧危機だ。
 海軍は一笑に付した。少なくとも陸軍はそう感じた。特に大湊警備府司令官の守原英康大将は屈辱に顔を歪めながら、必ずや水際で阻止して見せると請け負った。第一から第四までの全戦力を披露して、何を恐れるものかと豪語した。
 いいから駆逐艦を連れて行けという陸軍の懇願も何するものぞ、遠征任務の延長でしかない迎撃に全力出撃。それは見事な阻止線を構築し、腹が減って水上航行もままならない深海棲艦の海底移動を察知できず、あっさりと上陸を許す。
 オホーツク海沿岸部では避難が間に合い、戦艦でも駆除できた。幾つかの漁港など事前に焼き払われていたらしく、動けない相手にトド撃ちだった。
 しかし、太平洋沿岸部では住民が避難し切れずに、航空機さえ使えなかった。活躍したのは、各市町村に駐在する艦娘たちだ。
 深海棲艦の物量に対抗するため、統合幕僚本部では建造の実施を推奨している。しかし、提督が維持管理出来る艦娘には限りがあるし、建造は妖精さんですら完全に操作出来ない、運試しである。同じ艦隊にアイドルが複数いるのは、ショービジネスとしてはともかく、軍事的には無駄極まりない。
 だからといって、解体処分というのも躊躇われるどころの話ではない。
 紆余曲折あって現在では、艤装の建造が終わって艦名が判明した時点で建造を一時中止。他艦の改修材料へ流用するなどしている。
 だが、それ以前は解体の名目で本部が引き取り、資材と交換していた。引き取った艦娘は全国に派遣され、漁船の護衛や市街の防衛など、何よりも国民への融和政策の一環として、日々様々な活動をしている。アイドルに限らずだ。
 彼女らは自らの提督に不要と切り捨てられた。だが、必要とされる場所はあった。受け入れられたわけではなかった。その時がきた。
 提
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