ペルソナ3
1956話
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線が向けられた瞬間、真田は一瞬の躊躇もなくそう言ってのけた。
いやまぁ、美鶴と数年もの間一緒に行動していれば、今の美鶴の様子で下手にちょっかいを出そうものなら、間違いなく命の危機に陥るというのははっきりしたんだ。
そんな地獄に、わざわざ自分から手を出すような真似を、真田がする筈がないだろう。
有里も、そんな真田の様子を見てからは、口を開く様子はない。
ここで何かを言えば、間違いなく自分にとって最悪の出来事が待っていると、そう理解しているのだろう。
実際、ゆかりや美鶴にとって、あの時の出来事は少しでも早く記憶から消したいと思っても不思議ではないのだから。
そんなこんなで、微妙な雰囲気ながらも、ラブホテルの外に出る。
「わん! わんわん!」
すると俺達の姿を見つけたコロマルが、即座にこっちに走ってきた。
嬉しそうに尻尾を振りながら、俺の近くを走り回るコロマルを見て……少しだけ、本当に少しだけだが、周囲の雰囲気が穏やかになったような気がする。
勿論、あくまでも完全にって訳じゃなく、あくまでも少しだけなんだが。
「色々と危なかったようだが、どうやら何とかなったみてえだな、アキ」
「ふんっ、俺がそんな簡単にやられるかよ」
「湊、無事だったか」
「うん、まぁ、何とかね。色々と大変な事はあったけど、何だかいつの間にか終わってたよ」
荒垣と真田が、順平と有里がそれぞれ言葉を交わし……残っているのは、俺、ゆかり、美鶴、コロマル……そして少し離れた場所で周囲の様子を警戒している山岸。
ただし、山岸はもう1匹のイレギュラーシャドウの件もあってか、まだ警戒を解いた様子はない。
「お前の様子を見ると、特に何もなかったみたいだな。……まぁ、コロマルの力があれば、その辺のシャドウが襲ってきてもどうとでもなるだろうけど」
「わん! わんわん!」
褒めながら身体を撫でてやると、心の底から嬉しそうに鳴き声を上げるコロマル。
相変わらず人懐っこいようで何よりだ。
背後から向けられている視線には気が付いているのだが、ここで振り向けば色々と終わる。
それが分かっているだけに、俺はその視線を無視してコロマルを可愛がる事にする。
……いや、していた。
ぽん、と。そんな俺の右肩に、誰かの手が乗せられた。
それが誰の手なのかというのは、それこそ俺がこの世界に来た時からずっと一緒に行動しているのだから、考えるまでもなく明らかだろう。
「さて。ねぇ、アクセル。あの建物から出てきた以上、しっかりとあの時の事を説明して貰わないといけないわよね?」
「……あー、その可能性がない訳でもないような気がするな」
「どこぞの政治家みたいな事を言わないの。桐条先輩はどうします? いつもならここでお別れですけど
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