第5章:幽世と魔導師
第144話「葉月の背負うモノ」
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「え?」
「式姫の姿をした、何かが襲ってきた。……私もそれに面食らったのもあってな……逃げ切ったのはいいが…」
「途中で倒れてしまったと……。…移動しておいたのは正解だったわね…」
織姫が鞍馬を発見した時、すぐにそこから移動した。
何とも言えない危険を感じた故の行動だったのだが、それが功を奏したようだ。
「通りで直前の場所と違う訳か…助かった。そしていい判断だ」
「世辞はいいわ。それより、式姫の姿をした……って…?」
「ああ。直接相対したからわかる。……いや、“何か”と言うのは語弊があるな。むしろアレは“空虚”だったと言うべきだ」
「空虚…?空っぽだったって言うの?」
「そうだ。中身がなかったと言う方が合っている」
そう言われても、織姫にはピンと来なかった。
説明する鞍馬も、そんな様子の織姫に“無理もない”と思っていた。
これは、実際に相対しないと分からない事だからだ。
「……まぁいいわ。言葉だけでは分からない事もあるしね」
「そうだな。……それはそうと、お前はなぜここに?」
鞍馬は織姫が現代に生きている事は知らなかった。
それほど、織姫はそこまで表に出ずに暮らしていたのだ。
それなのに今ここにいる事に鞍馬は疑問に思っていた。
「それはもちろん、妖を討伐するためよ。……見れば、幽世の門がまた開いているじゃない。それなのに籠ったままって言うのは自分で許せなかったの」
「そうか。…私もお前も、やはり式姫だな」
「そうね」
妖に対抗すべき存在。それが式姫。
そんな式姫だからこそ、再び戦場に赴いたのだと、二人は言った。
「……となると、そうだな…」
「…今後の行動方針かしら?」
「ああ。どれほどの式姫が残っているのかは分からない。だが、どのみち私達だけでは大門を閉じるには力が足りないだろう?」
「……そうね」
それは、覆しようのない事実だった。
ましてや、鞍馬と織姫はかつて大門を閉じに行った際に、同行した式姫ではない。
それはつまり、大門を閉じるには力不足だったという事。
さらに、現在は少し戻っているとはいえ、力も衰えている状態。
どう考えても、そのまま大門を閉じに向かうには力が足りなかった。
「そちらで、他に生きている式姫を知らないか?」
「……いえ。残念ながらこっちも把握していないわ」
「そうか……他にいればいいが…」
どうしたものかと悩む鞍馬。
「とにかく、他の式姫も探そう」
「そうね。どこかで痕跡が見つかるかもしれないし」
結局は地道に行くしかないと、二人は結論付ける。
「っ……そうだ、葉月……!」
「え?」
「す
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