第5章:幽世と魔導師
第144話「葉月の背負うモノ」
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に、あの人の中に見えた“縁”。あれは一体……?)」
あまりに大きな存在感を放つ、異質すぎる“縁”に隠れていましたが、それ以外の“縁”も見えていました。その一つが、彼の内側から見えていたのです。
「(別人格?いえ、人格なら、あんな風に“縁”としては見えないはず…。見えたとしても、もっと彼自身と混ざり合った感じになるはずです…!)」
二重人格などの場合、別の“縁”として見えるはずがありません。同じ場所にあるのですから、“縁”も何もありあませんからね。
……しかし、彼の場合は別でした。まるで、同じ位置にあって全くの別物のような…。
「(…まぁ、確証がないのですけど…)」
飽くまで“未知”だったから引っかかっただけの事です。
もしかしたら、大したことがないかもしれません。
………尤も……。
「(もう一つの“縁”は、明らかにおかしいですけど…)」
見えているようで、見えていない…。
それは、言い換えると近いようで遠いようなものです。
距離によって私の物見の力が通用しなくなったりしますが、今回の場合は、通用しない距離なのに見えているようなものでした。
「(……“距離”じゃないと言うのですか?)」
“縁”が見えても、不明瞭。…これ自体は経験した事がありました。
しかし、“縁”の中身が不明瞭と言うのは、経験した事がありません。
まるで私には見る資格がないかのような……。
「…………」
……彼の異質さに気づいている人は、いるのでしょうか?
私には、ただただ不安に思えてきます。
「(“縁”があると分かっても、正体不明……)」
私の能力がここまで役に立たない……いえ、逆に混乱させてくるなんて…。
……ただ、唯一分かったのは、その“縁”は……。
「(……八百万の神なんて、目じゃない…途轍もない強さの存在が、関わっている…)」
それこそ、今起きている状況が、“他愛のない”と言ってしまえる程の……それほどの存在感が、鮮明に見えた訳でもないのに、伝わってきました。
「……考えても、仕方ありませんよね…」
少し考え込んで、私はそう結論付けました。
大事なのは、今の状況です。
例え後に関わってくるとしても、私にはどうしようもありません。
「(大門からの“縁”。その正体は間違いなく大門の守護者です。それはおそらく彼も気づいているはず…)」
そもそも大門に“縁”があるのは守護者ぐらいです。
……もしくは、“閂”になった存在……。
「(向かった先は東。……そこに何かあるとすれば……)」
なぜ、大門の守護者が門から移動したのか。
それは、未練や因縁など
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