第5章:幽世と魔導師
第144話「葉月の背負うモノ」
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ず、そのまま残りの人生を過ごす事になったのだから。
「私は、早死にでした。やはり、幽世に長くいた事が原因なのでしょう。普通よりも、寿命が短かったようでした」
「……人生に幽世が関わっていたから、見過ごせない……と言う事か」
「はい。……それに、もう一つ訳はあります」
「ん……?」
もう一つ、見過ごせない訳があると言う葉月。
むしろ、こっちの方が大きな理由になると言わんばかりの雰囲気だった。
「死ぬまでの間、私は何もしていなかった訳ではありません。私は必死になって、友人を……“とこよ”さんを探しました」
「っ、その名前は……!」
「知っているのですか?」
「……うちの式姫の、前の主の名前だ」
“繋がった”。そう優輝は思った。
まさか、こんな所で情報が繋がるとは思わなかったのだろう。
「……悪い、話を続けてくれ」
「…はい。とこよさんを探して回っている内に、ある場所に辿り着きました。当時、陰陽師を育成する学園として栄えていた、“逢魔時退魔学園”に」
「逢魔時……退魔学園……」
優輝にとっては聞いた事がない名前だが、心当たりはあった。
神夜が言っていた“かくりよの門”に舞台として登場しそうな名前だったからだ。
「そこで、方位師という陰陽師を補佐する一人に会いました」
「方位師……確か、有事の際は陰陽師を強制帰還とかする立場の……」
この辺りは椿たちに優輝は聞いた事があった。……ただし、触り程度だが。
「はい。“百花文”と言う方でした。私が学園に辿り着いた時、時を同じくして幽世の大門が閉じられました。……そして、閉じた陰陽師の方は戻ってこなかったのです」
「……その陰陽師の名が……」
「「“有城とこよ”」」
椿たちから聞いた事と、神夜が勝手に言っていた“かくりよの門”の情報を照らし合わせた優輝は、葉月とほぼ同時に同じ名前を呟く。
「……どう思っているんだ?君の友人と、大門を閉じた陰陽師の関係性は」
「……同一人物だと、そう思っています。同じ名前で、大門を閉じれる程の陰陽師は、あの人以外にいませんから」
「そうか……」
優輝には、否定も肯定も出来なかった。何も知らないからだ。
今聞いた話も要点のみなので、細かい事情などは全く知らない。
故に、軽々しい推測は述べられなかった。
「…話を続けますね。文さんと会った私は、詳しい話を聞きました。そして、共に探す事にしました。……ですが、文さんは病弱で、探す際の長旅に耐えられず……」
「………」
口ごもる葉月だが、それだけで優輝は分かってしまった。
病弱の身で無理をしたため、死んでしまったのだろう……と。
「きっと、無念
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