第5章:幽世と魔導師
第144話「葉月の背負うモノ」
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摘され、葉月は俯きながら肯定する。
「…話が逸れましたね。……結局、別行動していた姉と合流するまで、私は同行したままでした。……彼女とは、その時に離れました」
「彼女……?女性だったのか?」
「あ、はい。成人していましたが、貴方ぐらいの方でした」
優輝の身長はあまり高くなく、同年齢の女子程だった。
“彼女”は、当時の成人(14歳前後)したばかりの見た目だったという事らしい。
なお、二人は知らない事だが、“彼女”は現代でも成人を迎える程の年齢だった。
「…また話が逸れましたね…。その後、私達は彼女の命を…殺すための別の方法を使おうとしました。実際、何度かその方法を使って命を狙いましたが……彼女は、それら全てを乗り越えて、土宇裳伊様の加護を受けていた姉さえも、打ち破りました」
「………!」
それを聞いた優輝は、素直に感心する。
土宇裳伊がどれほどの力量を持っているか知らないとはいえ、神の加護を受けた人間を、同じ生身の人間が打ち破ったのだ。
神降しに劣るとは言え、神の加護は強力なもの。それを打ち破る程の力を、その陰陽師は持っていたという事になる。
「それほどの力を身に着けていれば、土宇裳伊様も直接出てきます。そして言いました。……“三人共幽世から出る方法がある”と」
「………」
本当なら、それは事実なのか疑いながらも、喜べるような言葉だろう。
しかし、葉月の浮かない表情から、それで終わりではないと優輝も気づく。
「それは、土宇裳伊様が討たれる事で、均衡を保つというものです。私達三人が持つ因果などを全て背負って、土宇裳伊様は転生しました」
「因果などって……そんな事をすれば……!」
どうあっても、平穏とは程遠い来世になってしまう。
その事に、優輝は思わず声を上げてしまう。
「……はい。土宇裳伊様は、少なくとも忌み子として生まれ変わると言っていました。……事実、その通りになったのだと思います。確かめる術はありませんが……」
「……神がたった三人のためにその身を犠牲に…か」
何とも壮大な話だと、優輝は思う。
「話を続けますね。……幽世の神と言う立場は、姉が引き継ぎ、私達は幽世の出口を探しました。紆余曲折を経て、幽世の出口……つまり、幽世の大門へと辿り着きました」
「そこから出て終わり……って訳じゃないんだな」
「……はい。姉は、幽世の神になった事で出られず、あの人も、出た後は二度と会う事は叶いませんでした。どうやら、幽世を出てから長い事眠っていたようで……」
「………」
最後までハッピーエンドと見せかけた、バッドエンドに近い終わり。
本当なら三人で出られるはずだったのに、姉を残し、友人とは二度と会う事が叶わ
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