第四十話 偸盗その五
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そしてそのあけびを見つつだ、彼は仲間達に話した。
「これが拙者達の今の食事でござるな」
「はい、蛇苺もあります」
謙二は足元を見た、するとそこにはかなりの量の蛇苺があった。
「こちらも」
「そうしたものを食うか」
「栗もありますぞ」
智はそれを見付けた。
「何でもありますな」
「いいものがあった」
ここで英雄も見付けた、その見付けたものはというと。
「柿だ」
「あっ、柿もありますな」
「柿を食うか」
その柿を見てだ、英雄は強い声で言った。
「これをな」
「若しや英雄殿は」
「柿は大好物だ」
こう智に答えた。
「実際にな」
「やはりそうでござるか」
「柿はいい、しかもかなり実っている」
英雄が見ている柿の木はそうだった。
「あれを食うか」
「他の果物はどうしますか?」
「あけびや蛇苺は」
謙二と良太が言ってきた。
「そちらの果物は」
「どうされますか」
「そちらも食うが」
しかしという返事だった。
「まずは柿だ」
「そちらですか、英雄殿は」
「最もよく食べるのは」
「そうしたい、そして栗も食う」
智が発見したそちらの果物も忘れていなかった。
「栗も好きだからな」
「ではこれよりです」
「四人で食べましょう」
「そうするか、だが」
ここでだ、英雄は自分が見ている柿の木にだった。
猿や烏達が寄るのを見てだ、少し眉を顰めさせて言った。
「全部取られないうちに食うか」
「大丈夫でござるよ」
智は猿達に柿を取られるのではと危惧している英雄に笑って話した。
「別に」
「実っている柿はかなり多いからか」
「それに猿は実っている柿ばかり食するのではござらぬ」
「そうなのか」
「左様、青い柿もでござる」
まだそうなっている柿、つまり渋い柿もというのだ。
「美味く食するでござる」
「そうだったのか」
「だから猿蟹合戦はござる」
有名なこの童話はというのだ。
「蟹は柿を食わぬものと言えばそれまででござるが」
「猿自体もか」
「渋柿まで食べてでござる」
「ああして渋柿を蟹にぶつけることもしないか」
「左様でござる」
「あの猿はかなり悪辣だがな」
それが為に成敗されて最後は子蟹に首を切断される、この童話もかちかち山と同じく原典は残酷なものなのだ。
「しかしだな」
「実際だとでござる」
「猿は渋柿まで食うからか」
「そうはならないでござるよ」
「それははじめて知ったな」
「人と猿では味覚が違うということでござるな」
「そうだな、ではだ」
英雄は智の話を聞いてだった、そうしてあらためて言った。
「俺達は俺達でだな」
「柿を取ってでござる」
「食おうか」
「そうするでござる」
猿や烏に取られる分を気にせずにと
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